海外医療通信 2020年5月号【東京医科大学病院 渡航者医療センター】

  • 2020年5月25日(月)

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

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東京医科大学病院・渡航者医療センター

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海外医療通信 2020年5月号

・海外感染症流行情報 

(1)全世界:新型コロナウイルスの流行状況

新型コロナウイルスの流行は5月25日までに世界188の国と地域に波及しており、感染者数は530万人、死亡者数は34万人にのぼっています(米国ジョンホプキンス大学 2020-5-25)。

アジアではインドで感染者数が増加しており、一日5000人前後の発生数になっています。西ヨーロッパでの流行は鎮静化してきており、各国が緊急事態措置の解除に動き出しました。米国では流行がピークを越えていますが、いまだに一日1万人前後の感染者が発生しています。ロシアも一日に1万人の感染者数が報告されており、流行はピークに達してきています。南米では5月中旬から感染者数が急増しており、ブラジルではサンパウロ市などを中心に1日2万人以上の感染者が発生しています。アフリカでの感染者数は地域全体で約7万人ですが、今後、増加するものと予想されています(WHO Covid-19 situation report 2020-5-24)。

日本の外務省は海外感染症危険情報を5月22日に発出し、インド、アルゼンチン、南アフリカなど11か国をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げました(外務省安全センターホームページ 2020-5-224)。この結果、渡航中止勧告が発出されている国はアジア、中東、ヨーロッパ、北米、中南米、アフリカなどの100か国以上にのぼっています。外務省としてこの状態を6月も継続する予定です。

(2)アジア:東南アジアでのデング熱流行状況

東南アジア各地でデング熱の流行が報告されています。インドネシアでは3月までに3万9000人の患者が発生しており、昨年同期よりやや増加しています(Outbreak News Today 2020-5-7)。シンガポールでも5月中旬までに患者数が7000人で、昨年同期の倍近い数になっています(WHO西太平洋 2020-5-21)。マレーシア、フィリピンでは4万人、ベトナムでは2万人を越える患者数が報告されていますが、昨年よりも少ない数になっています。東南アジアの多くの国はこれから雨季に入るため、蚊に刺されない対策をとるようにしてください。

(3)アフリカ:コンゴでエボラ熱流行が終息へ

コンゴ民主共和国の北東部で2018年から流行していたエボラ熱の流行が終息に向かっています。今年に入り患者数は減少し、4月に7人の患者が確認されましたが、5月は患者発生がみられていません(WHO Outbreak news 2020-5-21)。2018年からの累積患者数は3462 人(疑い含む)で、このうち2279人が死亡しました。

(4)中南米:ブラジルでのデング熱流行状況

新型コロナウイルスが流行するブラジルで、今年はデング熱の患者数も増加しています。5月上旬までに患者数は100万人にのぼっており、とくにサンパウロ州が多くなっています(Outbreak News Today 2020-5-21)。現地の医療機関は新型コロナの対応に追われており、デング熱患者にまで手が回らない状況です。現地に滞在中は新型コロナの予防とともに、デング熱予防のため蚊に刺されないよう十分に注意してください。

 

・日本国内での輸入感染症の発生状況(2020年4月13日~2020年5月10日)

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査を参考に作成しました。新型コロナウイルス流行にともなう渡航制限および入国制限により、この期間中の輸入感染の症例数は大きく減少しています。出典:https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2020.html

(1)経口感染症:輸入例としては腸管出血性大腸感染症1例、腸チフス・パラチフス2例、アメーバ赤痢1例、A型肝炎1例が報告されています。

(2)昆虫が媒介する感染症:マラリアは1例(アフリカで感染)でした。デング熱の症例はこの期間中に報告されませんでした。

(3)新型コロナウイルス感染症:この期間中に33例の輸入例が報告されており、前月(303例)に比べて大きく減少しました。主な感染国はインドネシア、ベトナム、フィリピン、フランス、カナダ、ブラジルが各2例でした。

(4)その他:麻疹、風疹の輸入症例はこの期間中に報告されませんでした。

 

・今月の海外医療トピックス

日本で狂犬病輸入事例が発生

5月22日に愛知県豊橋市で日本滞在中の外国人の狂犬病事例が報告されました。今年2月にフィリピンから来日し、5月中旬に発症しています。昨年9月にフィリピンで犬に咬まれたことが原因と考えられています。今回のように海外で感染し、日本国内で発症したケースは2006年に2例ありますが、それ以降は報告がありませんでした。

狂犬病は哺乳動物に咬まれたり、粘膜を舐められたりして感染します。発症すると100%死に至る危険な感染症です。日本は世界でも稀な狂犬病根絶国の一つですが、世界では毎年5万人以上が狂犬病で死亡しています。予防法としてはワクチン接種があり、途上国などリスクの高い国に滞在する場合は、渡航前の暴露前接種を強くお勧めしています。暴露前接種を受けていない人が咬まれてしまった場合、一刻も早くワクチン接種のできる医療機関を探し、暴露後接種を開始しなければなりません。今は新型コロナ流行 の影響で、海外の医療機関も平時のような受診ができないことが予想されます。ワクチンの流通が滞っている可能性もあります。今後、仕事等で流行の合間に渡航する人は、狂犬病を含むトラベラーズワクチンによる十分な予防をお勧めします。(医師 栗田直)

(参考) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11464.html

 

・渡航者医療センターからのお知らせ

(1)「海外在留邦人向け新型コロナウイルス感染症よろず相談窓口」のお知らせ

渡航者医療センターでは海外在留邦人向けに「新型コロナウイルス感染症よろず相談窓口」を開設しています。海外在留邦人の方ならどなたでも、電子メールによる無料相談が受けられます。詳細は下記をご参照ください。

https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/news/shinryo/20200421.html

(2)黄熱ワクチン接種に関して

渡航者医療センターでは黄熱ワクチン接種を通常通り行っています。黄熱ワクチンの有効期間は一生涯です。現在、予約枠に余裕があるので、今後、黄熱の流行地域(南米、アフリカ)に滞在予定の方は、この機会に受けておきましょう。

https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/tokou/yellowfever.html

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