旅行のB2B分野におけるテクノロジープラットフォームを提供するカートローラーが2月18日に発表した調査結果によると、2015年からの4年間で航空会社が得たアンシラリー収益は367億米ドルから756億米ドルへ106％増となった。調査は航空会社のアンシラリー収益に関するコンサルティングサービスを提供するアイディアワークスカンパニーと共同で実施したもので、受託手荷物料金や座席指定、有料機内食、優先搭乗、機内エンターテイメントなど航空運賃そのもの以外の料金の収益を推計したもの。

　地域別で見ると、756億米ドルの4割超となる315億米ドルを集めたのはロシアを含む欧州の航空会社で、2015年比では122％増であった。次いでシェアが高かったのはアジア太平洋地域で211億米ドル。伸び率は158％に達し、全方面で最も高い結果となった。

　アンシラリーの伸びを牽引するのはLCCで、例えば欧州ではアルファベット順でイージージェット、ユーロウィングス、ライアンエアーが1社あたりのアンシラリー収益が多かった上位3位を占めた。欧州において航空会社の営業収益全体に占めるLCCの比率は27.1％と高く、その営業収益全体のなかのアンシラリー収益は11.8％となっている。

　LCC比率は地域によって大きく異なり、最も少ないアフリカ・中東では4.6％に留まる。このためアンシラリー収益の比率も6.2％と低く、1社あたりの収益ランキングの上位はエミレーツ航空、エティハド航空、カタール航空の順となった。アジア太平洋ではLCC比率が10.9％、アンシラリー比率が7.4％、上位3社はエアアジア、中国南方航空、ジェットスター航空となっている。

　このほか地域別では、北米はアメリカン航空、デルタ航空、サウスウェスト航空、ユナイテッド航空の大手4社が市場をリード。ベーシックエコノミー運賃の導入とともにアンシラリーの収入増も加速しているという。また、ラテンアメリカでは、LCCが多く誕生してアンシラリー収入の獲得が進んでいるという。

　なお、ホテル販売のコミッションや、提携先へのマイルの販売などによる収益を含めると、アンシラリー収益の総額は2019年に1095億米ドルに到達したとの推計で、これは2010年比でほぼ5倍の規模という。

　発表文のなかでカートローラーCCOのアイリーン・マコーマック氏は、「アンシラリー収益が航空業界を変革するペースの速さは目をみはるものがある」とコメント。そのうえで、「広範囲な選択可能性と優れた顧客体験を重視する重視する航空会社が、より健全に利益を確保できる可能性を高くしていることに疑いの余地はない」と指摘している。