マカオ、「平穏」アピール、モノ商品に積極投資-イベントで需要喚起も

  • 2019年12月5日

榊原氏 マカオ政府観光局は12月5日、サプライヤーが来日して商談会と現地最新情報を紹介するセミナーを開催した。マカオ観光局日本代表の榊原史博氏によると、マカオへの日本人訪問者数は5月まで最大で前年比24.8%増となるなど好調に推移していたが、8月からは香港のデモへの懸念からか前年を下回り影響が出てきているところ。榊原氏は12月1日に開催されたマカオマラソンの写真を示して「マカオは安全でまったく変わりない」とし、旅行需要の獲得に向けて「皆さんとお話をしながらやっていきたい」と意欲を語った。

 日本人訪問者数は、1月から5月までは順に11.0%増、9.3%増、7.1%増、24.8%増、13.0%増となっていたが、香港でデモが発生した6月は1.1%増、そして7月以降は4.0%増、14.0%減、15.7%減となり、10月は34.9%減と厳しい結果となった。

 一方、旅行者の行動に変化も出てきており、宿泊客と日帰り客の比率を見ると、2018年10月に宿泊比率は50.3%のみであったところから、2019年10月は70.3%にまで増加。平均滞在日数も1.9日となり、「これまでの“香港・マカオ”から“モノマカオ”へのシフトがかなり進んでいる」という。

 こうしたなかでマカオ政府観光局としては、「モノマカオ商品」をさらに促進することを重視し、造成する旅行会社に対しては「お財布の底が切れるくらいにご協力していく」と全力でサポートすると表明。また、マカオと香港の組み合わせから、マカオと広東省南部の「グレーターベイエリア」の組み合わせも呼びかけていく。

会場の様子 プロモーションは、特にマカオ航空(NX)の成田と関空、福岡への直行便をベースとして展開。同局の試算によると、NXは今年6月までは年間15万席の規模であったところから、成田が7月にダブルデイリーとなり、12月18日には関空線もダブルデイリー化する予定で、これにより座席数が年間27万席へと増加する。マカオからの訪日旅行者数は11万人であることから、「単純に行けば16万席を日本向けに出せる席になる」という。さらに、香港からの直行便が就航する各地での需要喚起にも取り組んでいく。

 さらに榊原氏は、港珠澳大橋の完成によってこれまではフェリーで往復8000円が必要であったところから往復約2000円で済むことになり、デスティネーションとしての価格競争力が向上することもアピールした。港珠澳大橋は「まだユーザーフレンドリーではない」というものの、すでに日本人訪問者の4人に1人が利用しているなど浸透してきているという。

 このほか、セミナーではマーケティングディレクターの斉藤麻帆氏がマカオで開催されるマカオ芸術祭やマカオ国際花火コンテスト、マカオグランプリなどを紹介。斉藤氏は、「マカオのイベントは色鮮やかでカラフル」であるとし、さらに中国とポルトガル文化の共存や自由行動にも組み込みやすいイベントが揃っていることなどをアピール。

 また、セミナーでは現地最新情報として、マカオ国際空港のチェックイン時間が出発の60分前までとなったことや同空港を出発する全便についてライターとたたんだ状態で30センチメートル以上ある三脚の持ち込みが禁止となったことなどを紹介。また、マカオタクシー法が6月に改定され、悪質なサービスが8割以上減ったことや2020年以降もIRやホテルの新規開業が予定されていること、インセンティブ奨励策を充実していることなども説明した。