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全日空がNDC開発を宣言、比較サイトと接続へ-担当者に聞く

  • 2019年4月15日

 全日空(NH)は4月15日、このほどアイルランドのダブリンに本社を置くオープンジョー・テクノロジーズとの間で、国際線航空券販売のためのNDC(New Distribution Capability)プラットフォーム開発に関する契約を締結したと発表した。近年の利用者の予約・購入スタイルの変化を踏まえて、NHの予約システムと外部提携先のシステムを直結するプラットフォームの開発に着手する。日系航空会社がNDCに関する開発計画を正式発表したのは初めて。

 他社のシステムとの直接接続により、まずは従来のGDSでは難しかった、座席や機内食の画像など視認性の高いリッチコンテンツの配信と、ANAウェブサイトなどに限定されていたアンシラリーサービスの販売を開始する。今年度下期には航空券比較検索サイト1社との接続およびサービスの提供開始をめざす考えで、その後も順次、アグリゲーターやその他の比較検索サイト、旅行会社との接続をめざすという。最初に契約する比較検索サイトの名前は明らかにしていない。

契約締結後の記念撮影  今回の発表にあわせて本誌の取材に応えた、NHデジタル変革室サービスプラットフォーム部グローバル戦略チームマネージャーの図子絵梨奈氏によれば、NDCについてはIATA(国際航空運送協会)が提唱した2012年から意識はしていたものの、しばらくは他社の動向を注視。その後「2年ほど前から導入に向けた具体的な検討に入り、半年前に提携先の選定を開始した」という。導入した暁には、特に海外においてNHとそのサービスレベルの高さに対する認知度が高まることに期待する。

 提携先のオープンジョー社は中国系GDS・トラベルスカイの100%子会社(2016年に買収)で、主に旅行会社や航空会社に対して、各種ソリューションや導入支援サービスを提供。航空会社についてはキャセイパシフィック航空(CX)など10数社を顧客として抱える。図子氏によれば、複数の候補のなかからオープンジョー社を選んだ理由は「我々が要求する数百の要件を最も多く実現でき、数年越しとなるプロジェクトをパートナーとして開発していける可能性を感じた」とのこと。

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