海外医療通信 2019年3月号【東京医科大学病院 渡航者医療センター】

  • 2019年3月25日(月)

 ※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

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東京医科大学病院・渡航者医療センター

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海外医療通信 2019年3月号   東京医科大学病院 渡航者医療センター

 

・海外感染症流行情報 2019年3月

(1)アジア:東南アジアでデング熱患者が増加

今年は東南アジア各国で昨年を上回る数のデング熱患者が発生しています。マレーシアでは3月上旬までの患者数が2万8000人と昨年の2倍以上にのぼり、首都郊外のセランゴール州でも3000人の患者が確認されています(ProMED 2019-3-17)。フィリピンでも3月上旬までに患者数が4万人(昨年の2倍近く)、ベトナムも3万8000人(昨年の3倍以上)と増加がみられています(Outbreak News Today 2019-3-16, 21)。東南アジアはこれから本格的な雨季を迎えることから、デング熱への十分な対策が必要です。

(2)アジア:フィリピンでの麻疹流行

フィリピンでは1月から麻疹の流行が発生しており、3月上旬までに患者数が2万人を越えました(Outbreak News Today 2019-3-4)。患者の発生はマニラで多く、約4000人の患者が確認されました。海外から日本に入ってくる麻疹患者の感染国もフィリピンが多くなっています。フィリピンに滞在する際には麻疹ワクチンの接種を受けておくことを強く推奨します。

(3)アジア:インドネシアでポリオ患者が発生

インドネシアのニューギニア島にあるパプア州で昨年11月にポリオ患者が2人発生しました(WHO Disease outbreak news 2019-2-27)。いずれもワクチン由来1型ウイルスの感染でした。これにともなって、日本の外務省はインドネシアに滞在する者にポリオワクチンの追加接種を受けておくことを推奨しています(外務省海外安全ホームページ 2019-3-6)。隣国のパプアニューギニアでも、1型ポリオウイルスに感染した患者が2018年から発生していますが、今回のインドネシアでの患者発生との関係はないようです。

(4)中東:中東呼吸器症候群(MERS)の患者発生状況

サウジアラビアのリヤド近郊で2月上旬に39人のMERS患者が発生し、4人が死亡しました(WHO Disease outbreak news 2019-2-26)。病院内で感染が拡大した模様で、医療従事者が9人発症しています。アラビア半島のオマーンでも1月末から2月中旬までに13人のMERS患者が確認されました(WHO Disease outbreak news 2019-3-4)。

(5)アフリカ: コンゴ民主共和国でのエボラ熱流行状況

コンゴ民主共和国北東部で発生しているエボラ熱の流行は3月も続いています。最近3週間の患者数は97人で、新たな地区での患者発生も確認されています(WHO Disease outbreak news 2019-3-21)。昨年8月以来、3月中旬までの累積患者数は980人で、うち610人が死亡しました。

(6)北米:ニューヨークで狂犬病のアライグマを捕獲

米国・ニューヨークのマンハッタン北部にあるInwood Hill Parkで、今年1月、狂犬病に感染したアライグマ4頭が捕獲されました(ProMED 2019-3-13)。マンハッタンでは2011年にも狂犬病にかっかったアライグマが捕獲されいます。米国では野生動物の間で狂犬病が流行しており、公園などで動物を見かけても、接触しないように注意してください。

(7)南米:ブラジルでの黄熱流行

前回の海外感染症流行情報(2019年2月号)で、ブラジルの黄熱患者数(2018年12月~2019年1月)を「361人」と記載しましたが、「36人」の誤りでした。訂正するとともにお詫び申し上げます。なお、2月末までの同国の黄熱患者数は50人で、昨年同期に比べて少なくなっています(Pan American Health Organization 2019-3-6)。

 

・日本国内での輸入感染症の発生状況(2019年2月11日~2019年3月3日)

最近約1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査を参考に作成しました。出典:https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2018.html

(1)経口感染症:輸入例としては細菌性赤痢1例、腸チフス・パラチフス1例、アメーバ赤痢3例、A型肝炎4例、E型肝炎1例、ジアルジア1例が報告されています。A型肝炎は南アジア(ネパールなど)での感染例が多くみられます。

(2)昆虫が媒介する感染症:デング熱は16例で、前月(28例)に比べて減少しました。感染国はインドネシア(4例)、タイ、カンボジア(各3例)が多くなっています。マラリアは1例でコンゴ民主共和国での感染、チクングニア熱が1例でフィリピンでの感染でした。

(3)その他:麻疹が15例と前月(19例)と同様に増えています。感染国はほとんどがアジア諸国で、とくにベトナム(8例)が多くなっています。風疹は1例で、タイでの感染でした。

 

・今月の海外医療トピックス

犬に限らぬ狂犬病

最近、渡航外来で診察をしていて気になるのが動物と接触する旅です。たとえば、中国成都のパンダ抱っこツアー、タイ・シラチャでトラの赤ちゃんに授乳するツアー、ルワンダのゴリラトレッキングツアー、ペルー・イキトスのナマケモノふれあいツアー等があります。最近のテレビ番組の影響で、旅行者が無防備に動物と接触する機会が増えているようですが、注意すべきは狂犬病です。狂犬病は日本語で「犬」と入るため、感染源がイヌに限らず哺乳動物全般であることを知らない人が多いようです。当センターにも、海外でネコ、サル、パンダ、トラなどに咬まれるなどして、帰国後に暴露後のワクチン接種を受けにくる人が増えています。狂犬病は発症すると脳炎を起こし100%死亡する病気です。世界では1年間5万人以上が狂犬病で亡くなっています。日本は世界でも稀な狂犬病根絶国の一つですが、海外では無防備に哺乳動物に接触しないよう、十分ご注意ください。(医師 栗田直)

英国と米国のジカ熱予防ガイドラインが改訂

英国のNational Travel Health Network and Centre(NaTHNaC)は2月末に海外渡航者向けのジカ熱予防ガイドラインを改訂しました。大きな変更点は性行為による感染リスク期間の記載です。従来まで流行地域に滞在した男性は、流行地域を離れて6カ月間は安全な性行為を心がけるように記載されていましたが、今回の改訂では3カ月間に短縮されています。米国CDCのガイドラインでも、この期間が3カ月に短縮されています。なお、米国のガイドラインでは、最新のジカ熱の高リスクエリアをインド北西部に限定しており、この地域には妊娠した女性が滞在しないように勧告しています。(教授 濱田篤郎)

英国NaTHNaC https://travelhealthpro.org.uk/news/394/zika-virus-zikv-update-to-guidance 

米国CDC  https://wwwnc.cdc.gov/travel/page/zika-travel-information

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