旅行業・観光業DX・IT化支援サービス
旅行業・観光業DX・IT化支援サービス

週間ランキング、DMMの旅行業参入が1位、異業種参入続く

[総評] 西日本を中心とした豪雨災害で被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々とご家族に心からお悔やみを申し上げます。つい3週間前に大阪府北部を震源として地震が起きたばかりのタイミングでこのような甚大な被害が発生し、言葉を失っています。

 テレビのニュースなどで被災前後の様子を比べる映像を観るたびに、日常がいかに脆いもので、毎日つつがなく過ごせることがいかに貴重かということを感じます。旅行と非日常という言葉は大変親和性が高いわけですが、このような事態を目の当たりにすると、「日常に非ず」という言葉はふさわしくないのではないかと思ってきます。その意味では、あまり市民権はありませんが、「異日常」の方がより望ましい表現なのかも知れません。

 さて今週のランキングですが、1位はDMM.comが旅行業に参入する計画であることをお伝えした記事でした。同社のブランド認知度がどの程度のものか分かりませんが、もともとはアダルトビデオ関連事業で大きな利益を上げたことが土台となっています。

 以前もサステイナブルなセックスツーリズムはありえないだろうか、と書いたことがありましたが、性欲は適切に扱いさえすれば、インターネット普及に大きな推進力を提供したように旅行業においても真っ当な成功を期待できるテーマではないかと思っています。

 悲惨な災害が収束しない前に不謹慎という向きもあるかもしれませんが、本来「生きて、死に、その間に旅をする」ことを突き詰める上では避けて通れないテーマであり、むしろ死のリアリティが増せば増すほど、性だけでなく様々な欲、つまりニーズについての考察を研ぎ澄ませられる可能性があると考えています。

 少し前までは、その世界は高い壁の向こう側とこちら側とでもいうように隔離され、その境界を行き来する企業はほとんどなかったのではないかと思いますが、DMMのような会社があるということは、越境の手段がないわけではないということでしょう。DMMは今年3月に成人向け事業を分社化し、創業者の亀山敬司会長もTwitterに「DMMはエロを卒業します」と投稿されており、結局は未だ広く受け入れられてはいない様子ですが、であればこそチャンスもあるのではないかと思う次第です。

 とはいえ「DMM TRAVEL」はそのような話とは関係ないようで、アフリカ事業部が「学びを、キャリアを加速する。」をテーマにし「個人では体験できない旅」の提供をめざしているとのことで、むしろ旅行業の正道を行く話です。

 また、DMMの参入を含めて、最近は異業種企業の進出が増えているところで、先々週にはLINEが「LINEトラベル」を発表し、今週にはその関連でメタサーチのTravel.jpを運営するベンチャーリパブリックとの資本業務提携も公表しました。Travel.jpとの関係は最初の段階からあちこちで聞こえていながらなぜかひた隠しにしている印象でしたが、ようやく明らかになりました。

 DMMが商品に焦点を当てているのに対してLINEはプラットフォーム戦略の一環というか売り方の方が重要で、異業種という点では同一でも旅行業へのアプローチはかなり異なり、それぞれ興味が尽きません。

 第2位では、先ごろDeNAトラベルを買収したエボラブルアジアのインタビューがランクインしていますが、旅行業界にチャンスを見出す企業はむしろ増えている印象すらあります。トラベルビジョンとしては取材のしがいがあるというもので、きっとこれから皆様に面白いと思っていただけるコンテンツをたくさんお届けしていけるのではないかと思っています。(松本)

>>ランキングは次ページ>>