クレカ不正利用に対抗、楽天などシステム活用-業界内の対策訴え

  • 2018年5月23日

楽天の秋元氏  楽天ライフ&レジャーカンパニーCCO兼トラベル事業品質管理室オフィスマネージャーの秋元智広氏がこのほど本誌の取材に応え、同社とリクルートライフスタイル、一休の3社が発起メンバーとなって昨年7月に運用を開始した「旅行業不正検知共通プラットフォーム(JIRSTA)」について説明した。他人のクレジットカード情報による旅行商品の購入などクレジットカードの不正利用を検知・防止するシステムを利用するととともに、加入会社間で情報共有などをおこなう取り組み。運営はITセキュリティ事業などを展開するジャパンシステムが担当しており、昨年12月にはエイチ・アイ・エス(HIS)もJIRSTAに加入している。

 JIRSTAでは各社の不正防止策のノウハウを共有し、不正利用のパターンをシステムに蓄積してルール化することなどにより不正事業者に対抗。例えば同じクレジットカード利用者が同日に、異なる宿泊施設の客室を大量に予約する、仙台に住んでいるはずの人が大阪で韓国のクレジットカードを使って日本人名の航空券を予約するなど、通常の旅行者の予約動向と異なる、不正予約の可能性が高い利用者を検出することできるという。ジャパンシステムによると、数値は非公開だが導入した4社の不正利用は減少しており、不正事業者が逮捕された事例もある。

 秋元氏は「これまでOTAを始めとした旅行業は換金性が低く、現金化が難しかったので狙われてこなかったが、最近は不正なクレジットカードを使った旅行予約のビジネスモデルが確立したことで、増加傾向にある」と現状を説明。日本の旅行会社による対策不足を指摘するとともに、「1社で取り組んでも、不正業者は対策の甘い別の旅行会社をターゲットにして生き残る。旅行業界で不正利用の防止に取り組む必要がある」と強調した。

(左から)ジャパンシステムの松島氏、上野氏  また、ジャパンシステムエンタープライズ事業本部社会インフラ事業部第一営業部部長の松島浩之氏は「旅行会社へのコンサルティングが重要」と強調。同事業部マネージャーの上野貴寿氏も「システムを導入して終了と考えている会社が多いが、システムが怪しい予約を検出した後、与信確認をどうおこなうかが大切」と語り、JIRSTA加入社へのコンサルティングを重視していることを話した。

※詳細は後日掲載予定