香港、地方路線で成長へ、香取慎吾さん壁画など「しかけ」も継続

  • 2018年5月18日
HKTB日本局長の堀和典氏

(香港発) 香港政府観光局(HKTB)は5月17日、現地商談会「コントラクト香港」を開催した。定期的に実施しているもので昨年は札幌、東京、名古屋、大阪、福岡から63名が参加したが、今年は地方路線を多く展開している香港航空(HX)と香港エクスプレス(UO)と連携し、札幌、岡山、広島、米子、高松、宮崎、熊本、鹿児島、沖縄の空港周辺から26名を招聘。地方の旅行会社が香港へ一堂に会して商談会を実施するのはこれが初めて。好調な訪日需要に支えられて急拡大した日本/香港間の路線網を有効活用し、香港へのアウトバウンドの成長に繋げたい考えだ。

 本誌取材に応じたHKTB日本局長の堀和典氏によると、地方路線の座席の多くが訪日外国人旅行者向けに割り振られているものの「2割程度はアウトバウンドで利用されている」ところ。また、路線の誘致と安定的な維持には双方向の需要が不可欠と認識しパスポート取得支援などの施策に取り組む地方自治体側が増えており、一方では地方発の旅行商品が十分には造成されていないことから今回の商談会を計画したという。

 さらに、サプライヤーからも「地方市場は自分たちで営業活動をしにくく、旅行会社が一堂に会して商談をできるのは効率が良い」と高評価を得られているといい、地方では大都市圏よりも旅行会社の影響力が強いことや、今後も北陸や東北への路線開設が期待できることから、引き続き航空会社や自治体などと協力し、セミナーやプロモーションに取り組んでいく方針だ。


18年も2桁増に期待、香取さん壁画は「反響大」

作品の前に立つ香取慎吾さん。HKTB資料より転載

 2017年の香港への日本人訪問者数は前年比12.6%増の123万人となり、5年ぶりに120万人台に達した。18年はこれまでのところ、旧正月の影響もあってか2月は前年を割り込んだものの全体としては好調を維持しており、通年では引き続き2桁の伸びをめざしている。

 堀氏は、日本市場での活動では「しかけ」が重要であると説明。例えば昨年は香港島の中環・上環エリアを「オールド・タウン・セントラル(OTC)」と名付け、街が持つ歴史や文化の魅力をアピールしたほか、今年は香取慎吾さんがそのOTC内の世界一長いエスカレーター「ミッドレベルエスカレーター」の側面に壁画を描いて注目を集めている。

 香取さんの作品は、香取さん自身も140万人がフォローするInstagramや87万人超をかかえるTwitterで発信するなどして大きな反響を得ているといい、また一時的な盛り上がりが過ぎたとしても作品は残ることから、堀氏は「新しいピーアールの手法」になったと胸を張る。

 19年以降のしかけについては、詳細は明かさなかったもののすでに準備を進めているとコメント。一つの可能性として修学旅行や教育旅行の分野にチャンスを見出していると語った。