インタビュー: クラブツーリズム終活事業リーダーの木村氏

  • 2018年2月28日

顧客に寄り添う終活支援で事業拡大
来年度は講座・バスツアーともに増加

 2012年に、人生の終末の準備を進める「終活」に関する講座を開設したクラブツーリズムは、現在では墓地見学などを含む「終活バスツアー」を催行し、総合サポート窓口の「終活の総合サポート&ご案内デスク」を設置するなど、本業の旅行事業とは一線を画す終活事業の拡充を進めている。ここ10年ほどで市民権を得てきたものの、まだまだネガティブなイメージが残る「終活」について、同社が提供する支援サービスの現状と今後の展開を、経営企画部リーダーの木村佳世氏に聞いた。


-終活関連事業のこれまでの歩みについてお聞かせください

木村氏(以下敬称略) クラブツーリズムの主な顧客層は50代から70代ですが、旅行以外でもお客様に寄り添って提供できるサービスはないかと考えていたなか、12年4月に終活に関する講座を開設しました。当時は「終活」というと負のイメージが強かったので、まずは入門編となる講座から始めて、「終活について学びませんか」と提案し、その後は集客に合わせて踏み込んだ内容の講座も増やしていきました。供養やお墓のタイプなどを学ぶにあたり、実際に見てもらうことで納得感が生まれるだろうとの考えから、14年1月には終活についてのバスツアーも始めました。

 需要については「終活」という言葉が世間的に広がるなか、通常のバスツアーで添乗員がお客様の終活に関する悩みなどを耳にしていたこともあり、見込みがあると判断しました。当初は手探りでしたが、いつもご愛顧いただいているお客様には抵抗感なく参加してもらえるのではと予想していました。


現在の事業内容についてお聞かせください

木村 講座、バスツアーともにラインナップの拡充を進め、講座については生前整理の方法や質屋による買い取りなど現実的な問題に即した内容を加えてきたことで、17年4月から9月までの半年間の参加者は前年比2.5倍の約1000名に増加しました。講座とバスツアーを合わせた終活関連サービスへの参加者数は、17年12月までで累計1万人に達しています。

 また、昨年11月には「終活の総合サポート&ご案内デスク」を開設し、お悩み相談のほか、専門業者の紹介も始めました。専門業者については、以前は海洋散骨、樹木葬、納骨堂の案内だけでしたが、不用品回収、買い取り、相続、身元保証、ペットなどの関連業者との提携も進めており、成約時に発生するコミッションは新たな収益源として期待しています。今年3月にはホームページもリニューアルし、事業者紹介のページも充実させていく計画です。

 サービスの1つとして、自分の生い立ちを紹介する「自分史」の作成もお手伝いしています。これまでの思い出話や写真、「自分年表」、家族への手紙などで構成された冊子を制作して販売していますが、より気軽にサービスを活用してもらうために、安価なタブロイド版の作成支援も新たに始めます。そのほか、生前葬のプロデュースもお手伝いしています。