エアアジアJ、待望の運航開始、フェルナンデス氏「戦う」

  • 2017年10月29日

甲冑に身を包んでレセプションに登場したフェルナンデス氏  エアアジア・ジャパン(DJ)は10月29日、中部/新千歳線の運航を1日2便で開始した。運航開始に先立ち、27日には中部国際空港で就航記念レセプションを開催。赤い甲冑姿で登壇したエアアジアグループCEOのトニー・フェルナンデス氏は、「約2年間にわたり機材を駐機していたが、その状態もようやく終わる。就航が待ちきれない」と語り、「甲冑姿は、新しい航空会社として日本に乗り込み、高い運賃と戦うという気持ちの現れ」と語った。

 DJは2015年10月に中部/新千歳、仙台、台北(桃園)線の開設計画を発表。当初は16年4月の就航をめざしていたが、2月には就航時期を7月へ、5月には「秋以降」へと順次変更し、さらに9月には「事業の選択と集中」を理由に仙台線の取り止めを決定。新千歳線の就航を17年初旬に、桃園線を17年春に変更した。今年1月には「安全運航に向けた社員訓練のスケジュールの遅れ」などを理由に、無期限の就航延期を発表。しかし10月16日に新千歳線のスケジュールを発表し、ようやく運航開始に至った。桃園線については「18年度以降の就航をめざす」としている。

客室乗務員などが歌と踊りを披露。「我々のユニークさを味わってもらえたのでは」とフェルナンデス氏  フェルナンデス氏は度重なる就航延期について「良いことをするには時間がかかる。就航する、と言うことは簡単だが、1つ1つクリアしなければいけないことが多かった」とこれまでを説明。その上で「マレーシアなど東南アジアから多くの人々を名古屋に運ぶとともに、名古屋から海外に多くの人を運びたい」と話し、中部線のさらなる拡充に意欲を示した。エアアジアXグループCEOのダトック・カマルディン・メラヌン氏も、目標の時期については語らなかったが「クアラルンプールと名古屋を結ぶつもり」と語った。なお、エアアジアX(D7)は14年3月に中部/クアラルンプール線の運航を開始したが、15年2月に運休している。

 エアアジアグループは11年に、全日空(NH)と共同で旧エアアジア・ジャパン(現バニラエア)を設立したが、12年8月の運航開始から1年足らずで提携を解消。10月には運航を中止した。フェルナンデス氏は「1回目の『結婚』は短期間で解消した」と振り返り、「出資者の皆様の助けを得て中部に根を下ろし、この日を迎えることができてとても嬉しい」と強調。DJは14年7月に、エアアジアグループに加えて、楽天やノエビアホールディングスなど国内の4社が出資して設立している。

レセプションでは関係者による記念撮影を実施。中央がフェルナンデス氏、中央左がメラヌン氏、右が三木谷氏  レセプションで登壇した楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「DJの運航開始には非常に期待している。内向きな日本人の世界観がかわるきっかけになるのでは」と話した。なお、本誌の取材に応えた楽天トラベルは、DJの航空券の取り扱いについては「未定」としている。


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