itt TOKYO2024

コスタ、北朝鮮問題で方針転換、18年日本は太平洋側に注力

  • 2017年9月27日

糸川氏  コスタクルーズ日本支社長の糸川雄介氏は、このほど「ツーリズムEXPOジャパン2017」の会場で本誌のインタビューに応じ、2018年度の「コスタネオロマンチカ」(約5万7000トン、乗客定員1800人)による日本発着クルーズについて新たな方針を説明した。北朝鮮のミサイル発射問題による需要減を受け、金沢などを拠点にした日本海クルーズを減らし、東京や横浜などを拠点にした太平洋クルーズを増やす。糸川氏は太平洋クルーズについては「リピーターの囲い込みと訪日外国人の販売強化をめざす」と述べた上で、減らす予定の日本海クルーズについては「北朝鮮問題はあるが、クルーズ市場のすそ野の拡大に向けて継続し、日本に定着させたい」と話した。

 17年度の日本発着クルーズの現状については、4月から10月までは日本海クルーズを、10月から3月までは太平洋クルーズを実施する予定だったが、グローバルでの配船計画により来年2月と3月については、香港と台湾への配船が決定したことを説明。1月27日から3月8日までの東京出発分のクルーズを中止する「苦渋の決断」をし、予約者には事情を説明した上で返金をおこなっているという。

 このうち日本海クルーズは「夏のピーク期こそ好調だったが、ゴールデンウィークや6月は北朝鮮問題の影響で良くはなかった」とのことで、集客目標の5万人のところを3万5000人強で着地する見通しだ。18年度については7月1日から8月27日までの4コース・11本に限定し、4月21日から6月30日までは6コース・10本の太平洋クルーズに振り替える計画。7・8月の日本海クルーズの後、9月から11月までは再び太平洋クルーズを実施する予定で、詳細は追って発表する。12月以降については未定としているが、日本発着クルーズは通年で実施する予定だ。なお、ほとんどのコースで同一航路を繰り返し運航し、起点以外の港での乗下船を可能にするインターポーティング制を採用する。

 18年度の太平洋クルーズについては東京、横浜、神戸で乗船可能。6泊7日、7泊8日、8泊9日のコースを2種類ずつ設けており、和歌山県の新宮や島根県の浜田、長崎県の佐世保に初寄港する。糸川氏は、1週間以上を要する太平洋クルーズでは、クルーズ経験のあるシニアなど主なターゲットとする方針を説明。外国人旅行者の取り込みもはかるといい、特に2週間のクルーズに参加することが多い欧米人に、2コースの連続乗船を訴求する。

 日本海クルーズは福岡、舞鶴、金沢で乗船可能とし、4泊5日と5泊6日のコースを1種類、7泊8日のコースを2種類設けた。ターゲットは夏休み中の日本人家族で、期間が短いことから、ファーストタイマーの取り込みもはかる。なお、訪日外国人の利用については、福岡は航空座席の不足、金沢や舞鶴は成田、羽田、関空からのアクセスの問題から、全体の20%弱にとどまっているという。

次ページ>>>18年度は料金体系を変更、変動制代金導入へ