3種リゾネットに行政処分、マルチ商法強引勧誘-旅行業は継続可

  • 2017年1月18日

 東京都は1月17日、旅行やリゾート、スポーツクラブなどを割安に利用できる会員権を「連鎖販売」、いわゆるマルチ商法で販売する第3種旅行会社のリゾネットに対し業務の一部停止命令を出した。新規会員を獲得するための勧誘が不適切であったことが理由で、都は「特定商取引に関する法律」にもとづいて連鎖販売の勧誘、契約の申込受付と締結を3ヶ月間停止することを命じている。旅行業の継続は可能だ。

 リゾネットのウェブサイトによると、同社の設立は2006年4月。会員になると、他の第1種旅行会社などが企画実施する募集型企画旅行の旅行代金割引や、日本各地の旅館やホテルなどの割引価格での手配、自社運営または提携する国内リゾート施設の利用、スポーツクラブの利用といった限定サービスを受けられるようになるという。

 今回の都の命令では、連鎖販売を統括する「統括者」の名称や勧誘の目的、商品の種類を勧誘の前に明示しなければならないのにしなかったこと、また会員数の上限がないのにあるように伝えて枠が少ないと思わせるなど虚偽の説明をしたこと、そして事務所で3時間以上の説明会を開催した上で契約しない意思を表明している消費者に対して執拗な勧誘を繰り返したこと、の3点が主な不適正取引行為とされている。

 都によると、16年9月時点でのリゾネットの会員数は3823人。15年度から会員内のグループが勧誘を強化した結果、都への相談件数は12年度に3件、13年度に15件、14年度に25件であったところから15年度に71件、16年度は1月16日までで99件と急増している。

 なお、ウェブサイトの過去の状態を保存しているツールで同社の会社概要を見ると、16年10月の段階では主要取引先として東急ホテルズ、東武トップツアーズ、近畿日本ツーリスト、JALセールス、ビッグホリデー、ANAセールス、クラブメッドの順に社名を列挙していたが、現在は主要取引先の欄ごと削除されている。また、かつて公開していた電話番号も会社概要から削除され不通となっている。