国交省、全日空の旅客不一致事案で各社に指示、照合厳格化

  • 2016年10月26日

 国土交通省航空局は10月25日、全日空(NH)が9月30日に福岡発羽田行きのNH256便で搭乗手続き未了の旅客を乗せ、定員が1名超過した状態で運航を開始した事案を踏まえ、国内の航空会社22社に対して、搭乗手続き済みの旅客と実際の搭乗者の照合を厳格におこなうよう指示した。各社に調査した結果、2012年以降に類似案件が計236件あったこと受けたもの。このうち、定員超過はNHで4件、日本航空(JL)で1件の計5件あったという。

 10月25日には、厳重注意を受けていたNHも再発防止策をまとめた報告書を提出。NHは事案発生後、緊急対応として保安検査場への係員の配置、搭乗ゲートでのエラー対応の手順見直し、全空港への注意喚起などを実施している。再発防止策ではこれらに加えて、保安検査場と搭乗ゲートでの手順・体制の見直し、着席確認後の出発などの対策を講じるとした。

 なお、航空局は20日に、手続き済み旅客と搭乗者の不一致の解消のため、航空会社との実務者レベルの検討会を設置したところ。今後の適切な対応策について検討していくとしている。

▽関連でパブコメ開始、シートベルト着用も徹底

 同局は25日には、今回の事案に関連して、通達「離着陸時等の安全バンドの装着及びチャイルドシートの使用に関する要件等について」の一部を改正するためのパブリックコメントを開始した。出発時の旅客の着席確認のタイミングについても調査を実施したところ、ドアを閉める前や自走開始前など各社で回答にばらつきが認められたことを受けたもので、航空機が駐機場から移動を開始する前までに、旅客の着席とシートベルト着用を徹底するよう求める。

 現行の通達では、航空会社に航空機の離着陸、地上滑走の間は乗客にシートベルトを着用させることを求めている。改正後は「地上滑走」という文言をより明確なものに変更する考え。11月23日まで改正案に対する意見を募集した後、11月下旬に改正した通達を発出し、12月中旬から適用する予定だ。