貸切バスの処分厳格化でパブコメ、監査も強化

  • 2016年10月20日

 国土交通省自動車局は10月18日、貸切バスの事業者に対する行政処分の実効性向上に向けて、処分基準を改正するためのパブリックコメントを開始した。今年1月に軽井沢で発生したスキーバス事故を受けて、「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」が6月に取りまとめた再発防止策に基づくもので、改正案には街頭監査と営業所などへの一般監査における処分の強化や、行政処分の対象範囲の拡大、処分日数の見直しなどを盛り込んだ。11月16日まで改正案に対する意見を募集した後、11月中に通達を発出し、12月1日から施行する予定だ。

 改正案では、街頭監査については法令違反事実を確認後、その場で是正されない場合には「輸送の安全確保命令」などの発動に加えて、是正が確認できるまで違反車両の使用停止処分をおこなえるようにする。また、街頭監査での法令違反事実の確認から30日以内に是正状況を確認するための「指摘事項確認監査」を実施するとした。

 一般監査については、緊急を要する重大な法令違反が見つかった場合、街頭監査と同様に「輸送の安全確保命令」を発動し、是正が確認できるまで営業所に配置するすべての関係車両を使用停止可能とする。あわせて、30日間の事業停止処分を科し、是正が見られない場合には事業許可を取り消すことなどを盛り込んだ。

 行政処分については、これまで明確に定めていなかった使用を停止する車両数の割合を、営業所が保有する車両の8割とすることを明記。処分量定については、例えば「運賃料金届出違反」の場合、現行の20日車だった処分を60日車に引き上げるなど、安全に関わる違反を中心に強化する。

 運行管理者の資格者証の返納命令については、現在は処分日数の合計が120日車以上となった場合に統括運行管理者のみを対象としているが、今後は違反に関わった者全員が対象となる。120日車以下の場合でも、事業許可を取り消された事業者で勤務する者には返納を命ずるとした。また、職務とは関係なく自家用車で飲酒・薬物運転をした運行管理者も返納対象に追加した。