現地レポート:グアム、MICE獲得に向け邁進、大型会議場も開業

客室なども増加しハード面の課題が解消
キャンペーンやイベントで誘致を促進

「グアムBBQブロックパーティー」では、まさに“アメリカンサイズ”の骨付き肉の燻製などが売られている  グアム政府観光局(GVB)は6月末から7月初旬にかけて、ユナイテッド航空(UA)の協力のもと、毎年恒例の研修旅行「ハファデイ・グアム・スタディ・ツアー2016」を開催した。今回のツアーには全国の旅行会社から商品造成担当者など計64名が参加。GVBは初めての試みとして、参加者を対象とした事前セミナーを日本で実施したほか、「観光客の目線でグアムを楽しんで欲しい」という考えから土日を含む行程を組み、商談会やホテル、観光施設などの視察に加えて自由時間を多く設けた。今回はGVBがツアーのメインテーマとして掲げる、MICE需要の獲得に向けた取り組みなどを紹介する。


日本人は微減傾向でも「最重要」
17年は80万人への回復めざす

チャモロビレッジで月に2回開催する「テイルゲートファーマーズマーケット」。地元民が無農薬で育てた自慢のフルーツは驚くほど甘い  グアムで観光産業が本格化したのは、今から約50年前の1967年に、パンアメリカン航空(PA)が日本から旅行会社やメディアなどの参加者109名を乗せたチャーター機を就航したことに遡る。GVB局長兼CEOのジョン・ネイサン・デナイト氏は観光産業の発展を振り返り、「67年の全世界からの訪問者数は4500人程度だったが、15年は過去最高の140万人を達成できた」とコメント。その上で、近年は減少傾向が続きながらもシェアの第1位を走り続けている日本市場について「最重要マーケットであり、グアムの観光産業は非常に礼儀正しい日本人旅行者に育ててもらった」と改めて強調した。

 GVBによると、2015年度(14年10月~15年9月)の日本人訪問者数は円安などの影響により5.6%減の77万9405人。16年度も、15年10月から16年7月までについては累計で4.5%減の60万8285人と前年を下回っている。GVBは日本人観光客の初訪問から50周年を迎える17年度について、14年度並みの80万人を目標としている。

ツアー初日の商談会には約40社の現地サプライヤーが参加した  デナイト氏は、GVBが掲げる長期ビジョン「ツーリズム2020」のなかで、20年の目標として外国人訪問者数200万人、日本人訪問者数120万人を設定していることについて、「日本は円安など経済的な問題もあり、訪問者数が爆発的に伸びているわけではないが、基本的に計画は変えない」との考えを示した。一方で、「GVBは長期滞在を推進しているが、航空会社などは短期滞在で何度も利用してもらえるほうが利益になる」とステークホルダー間の考え方の差を指摘。「多少の計画の修正も必要では」と述べた。