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東京検疫所、リオ五輪前に改めて強調「感染症対策はCSR」

  • 2016年7月12日

セミナーの様子  厚生労働省の東京検疫所はこのほど、8月のリオデジャネイロオリンピックを前に、一般企業やメディア向けのセミナー「元気に行こう!リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック-CSRの観点からの感染症対策-」を開催した。現地で流行しているジカ熱やデング熱などへの対策を啓発するもので、同所は昨年12月にも同様のセミナーを開催。今回はリオ五輪前の最後のセミナーとして、旅行会社を含むすべての企業にとって感染症対策がCSR(企業における社会的責任)となることを再強調した。

東京検疫所所長の加藤氏  冒頭で挨拶した所長の加藤誠実氏は「社員が感染症を持ち帰ることのないよう、企業が準備段階から責任を持って行動する必要があることは言うまでもない」と述べた上で、「そのことが企業活動の成否に大きく影響する時代になっている」と説明。今日のCSR活動にとって、感染症対策が不可欠であることを強調した。

 続いて、日本渡航医学会の理事長を務める東京医科大学渡航者医療センター教授の濱田篤郎氏が、「企業における社会的責任としての感染症対策」と題した講演を実施。冒頭でリオ五輪の概要について説明した濱田氏は、開催国の広い範囲が熱帯に属する初めての大会であることや、日本からは最も遠い開催地での大会であることについて述べた上で、「健康面では大変な大会」との見方を示した。

 現地で罹患する可能性がある感染症については下痢、A型肝炎、デング熱、黄熱、マラリア、破傷風、季節性インフルエンザなどを列挙。このうち黄熱や破傷風などについてはワクチンで予防が可能であることを説明し、サッカーの予選がおこなわれるマナウスなどを訪れる人には、特に黄熱ワクチンの接種を推奨した。なお、これまでは10年間に限り有効だった黄熱予防接種証明書は、今年の7月11日から生涯有効となり、10年以上経過した証明書も更新手続きは不要となる。

 ワクチンがないジカ熱については、新生児の小頭症を引き起こす可能性があるため、妊婦が流行地域へ渡航しないよう呼びかけるとともに、滞在中と帰国後2週間は蚊に刺されないよう努めることが必要とした。また、ジカウイルスは精液を介して人から人へと伝染することが知られていることから、滞在中と帰国後8週間については安全な性行為に努めることも求めた。

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