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セブパシフィック、新路線の安定に注力、旅行会社と協力

  • 2016年6月12日

イヨグ氏  来日したセブパシフィック航空(5J)マーケティング・販売担当副社長のキャンディス・イヨグ氏は6月10日、本誌の単独インタビューに応え、今後の日本市場における戦略について語った。5Jは昨年にマニラ/福岡線とセブ/成田線の2路線を開設したばかりであることから、同氏は「当面は2路線の安定化に向け注力する」と説明。増便や新規路線の計画については明らかにしなかったが「積極的に検討を進めている」と語った。また、増加している訪比日本人観光客の取り込みに向け、旅行会社やインフィニとの協力関係を強化する考えを示した。

 5Jは2008年に初の日本路線としてマニラ/関空線に就航。その後はマニラ/成田、中部線を開設し、昨年には新たに2路線を追加して、現在は日本/フィリピン間を週23便で運航している。イヨグ氏によれば、15年の2国間の搭乗者数は前年比4割増の約28万人。フィリピン発の需要が多くを占めるという。ロードファクターは新路線の開設により、例年よりは低下したものの80%台前半を維持。今年は85%をめざす。

 日本におけるマニラ/成田、中部、関空、福岡線の販売チャネルは、8割が直販で2割が旅行会社経由だが、イヨグ氏は「もう少しバランスが必要」と述べ、旅行会社による販売に注力している旨を説明した。具体的には、グループ向けにブロックで座席を提供しているほか、今後は旅行会社とフィリピン観光省などが訴求する「女子旅」商品の造成も支援する考え。GDSに向けても、限定のセールなどを実施する。なお、セブ/成田線については8割が日本発で、そのほとんどが旅行会社経由だという。

 同氏はサービス面については、最小化または有料化により航空券の価格を引き下げる従来通りの方針を維持する考えを示した。日本人に顕著とされる、安価な料金とともにサービスレベルの高さも求める傾向については、機内食や座席など有料サービスのバラエティ、機齢の新しさ、定時運航率の高さ、機内でのゲームイベントなど独自の取り組みにより「十分に対応できている」と説明した。

 機材については現在、エアバスA319型機、A320型機、A330型機など計57機を保有しているが、今年から21年にかけてはさらに48機を導入し、そのうち30機が最新機種のA321neo型機となる予定。A321neo型機は現在の機材よりも飛行距離が長いことから、今後は「現在の機材では就航できない路線への就航が可能になる」と述べ、日本路線については一例として、新千歳などへの就航も可能になる旨を語った。

 5月にバニラエア(JW)などアジア太平洋地域のLCC7社と設立した世界初の国際的LCCアライアンス「バリューアライアンス」については、「単に他社グループと競うためのものではなく、ネットワークの拡大や連携によるコスト削減に重きを置いている」と説明。加盟各社によるコードシェアやダイヤ調整などはおこなわないものの、利用者にとっては予約・購入時の利便性が向上するとアピールした。今後数ヶ月以内には、全加盟会社がそれぞれの自社サイトで他社の航空券の販売を開始する予定。

 日本/フィリピン間については、今年に入りジェットスター・ジャパン(GK)が日系LCCでは初めて路線を開設するなど、競争が激化しているところ。イヨグ氏は「市場環境はとても厳しい」と述べる一方で、「GKが日本国内にネットワークを持つように、我々も国内34都市に充実したネットワークを持っている」と強調し、日本人観光客の取り込みに意欲を見せた。