海外医療通信2016年5月号【東京医科大学病院 渡航者医療センター】

  • 2016年5月27日(金)

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

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東京医科大学病院・渡航者医療センター

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・海外感染症流行情報(2016年5月)

(1)中国での鳥インフルエンザH7N9型流行状況

中国の沿岸部では2013年から冬季に鳥インフルエンザH7N9型の流行が毎年みられています。今季(11月~4月)は97人の患者が確認され、うち38人が死亡しました(外務省海外安全センター 2016-5-12)。3月~4月の患者数は28人で(WHO 2016-5-3, 17)、発生地域は江蘇省(10人)が多くなっています。ほとんどの患者は発症前に家禽との接触歴がありました。流行地域では生きた家禽が販売されている市場などに立ち入らないように注意しましょう。

(2)モンゴルで麻疹患者が増加

今年になりモンゴルで麻疹の患者数が増加しています。4月までに2,000人以上の患者が確認されており、とくに首都ウランバートルでの発生数が多くなっています(WHO西太平洋事務局 2016-4)。麻疹は空気感染する病気で、日本では20歳代後半から40歳代前半の年代で、抵抗力の低いことが明らかになっています。この年齢層が流行地域に滞在する際には、麻疹ワクチンの追加接種を受けておくことを推奨します。

(3)フィリピンでデング熱ワクチンの接種が始まる

フィリピンでは昨年末に、サノフィ社製のデング熱ワクチン(Dengvaxia)が認可されており、4月下旬までに小児を中心に約20万人が接種を受けました(ProMED 2016-5-9)。接種後は局所反応などの副反応が一部にみられていますが、大きな副反応の発生はないようです。このワクチンは生ワクチンで、3回(0~6か月~12か月)の接種が必要です。詳細については下記のWHOのホームページをご参照ください。

http://www.who.int/immunization/research/development/dengue_q_and_a/en/

(4)シンガポールで手足口病の患者が増加

シンガポールで2月から手足口病が流行しています。4月までの患者数は小児を中心に12,000人で、この数は2013年以降で最多となっています(WHO西太平洋事務局 2016-5-3, ProMED 2016-5-5)。本症はエンテロウイルスによる病気で、飛沫感染や接触感染で拡大します。発熱や発疹をおこすとともに、脳炎や心筋炎など重篤な症状を併発することがあります。シンガポールでは気温の上昇する6月~7月に患者数がピークになるため、手洗いの励行などの十分な予防対策が必要です。

(5)アフリカ南部で黄熱の流行が拡大

アフリカ南部のアンゴラでは、昨年12月から首都のルアンダを中心に黄熱の流行が発生しています。現地ではWHOによるワクチン接種が展開されていますが、患者数(疑いも含む)は5月中旬までに2420人にのぼり、うち298人が死亡しました(WHO 2016-5-20)。アンゴラで感染した患者が国外で発病する事例もみられており、コンゴ民主共和国で42人、ケニアで2人、中国で11人の患者が確認されています。コンゴでは輸入例を起点とする国内流行も発生しています。

WHOは5月19日に緊急委員会を開催し、「今回の黄熱流行は国際的な公衆衛上の緊急事態にあたらない」との結論を出していますが、今後も流行の推移を観察する必要があります(WHO 2016-5-19)。なお、アンゴラやコンゴに入国する際には、黄熱ワクチンの接種証明書の提出が必須となっています。また、周辺諸国でも入国時に証明書の提出を求めることがあるので、入国を予定する人は、事前に在日大使館や検疫所などに問い合わせてください。

(6)ジカウイルス感染症の流行状況

中南米などで発生しているジカウイルス感染症の流行は、5月も拡大しています。2015年以降に流行が確認された国は4月末の時点で42か国でしたが、5月中旬には46か国に増加しました(WHO 2016-5-19)。新たに流行が確認された国としてはペルーやアルゼンチンがあります。日本国内では今年になりジカウイル感染症の輸入例が6人報告されており、感染国はブラジ3人、ブラジル以外の中南米2人、南太平洋1人になっています(5月26日現在)。

ジカウイルス感染症は妊娠中の女性が感染すると、胎児に小頭症などの奇形をおこす可能性があります。また、感染した男性から、精液を介してパートナーの女性に感染させることもあります。このため、国立感染症研究所は流行地域に滞在する旅行者の性行為について、次のような勧告を出しました(国立感染症研究所 2016-5-13)。

(男性)滞在中と帰国後4週間は安全な性行為(コンドームを使うなど)をするように努める。

(女性)帰国後4週間は妊娠を控える。

(7)ブラジルの感染症流行情報

今年は8月からリオデジャネイロでオリンピックとパラリンピックが開催されるため、多くの日本人がブラジルを訪問します。現地では蚊に媒介されるデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症が流行しており、滞在中は蚊に刺されないように心がけてください。また、サンパウロ州では黄熱の患者も発生しており(ProMED 2016-5-7)、内陸部に立ち入る場合は黄熱ワクチンの接種を推奨します。なお、ブラジルは南半球のため、これからインフルエンザの流行時期となりますが、まだ本格的な流行は発生していない模様です(WHO 2016-5-16)。

 

・日本国内での輸入感染症の発生状況(2016年4 月8日~2016年5月8日)

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査を参考に作成しました。出典:http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr.htmll

1)経口感染症:輸入例としてはコレラ1例、細菌性赤痢4例、腸管出血性大腸菌3例、腸・パラチフス6例、アメーバ赤痢7例、A型肝炎9例、E型肝炎1例、ジアルジア1例が報告されています。A型肝炎の事例が最近増加傾向にありますが、大多数はアジア諸国での感染でした。腸・パラチフスはインド(2例)とインドネシア(2例)での感染例が多くなっています。

2)蚊が媒介する感染症:デング熱は輸入例が26例で、前月(33例)よりやや減少しました。感染国はインドネシアが11例と最も多くなっています。マラリアは6例で、このうち5例がアフリカでの感染でした。ジカウイルス感染症は1例報告されており、感染国は南太平洋でした。

3)その他の感染症:風疹の海外感染例が2例報告されています。滞在国はベトナムとインドでした。レジオネラ症が2例報告されており、いずれも中国での感染でした。

 

・今月の海外医療トピックス

1)新たに認可された昆虫忌避剤 イカリジン

2016年3月、日本国内ではディートに続く新たな忌避剤としてイカリジン(ピカリジンとも呼ばれます)が認可されました。イカリジンは1986年にドイツの化学メーカーにより開発され、海外では広く使用されてきた忌避剤です。ディートは非常に効果的な忌避剤ですが、誤って人体内に取り込まれた際の有害性などの観点から、小児への使用に注意が必要でした。イカリジンは効果としてはディートに比べるとやや劣るものの、安全性の面で評価されているようです。様々な選択肢が増えることは喜ばしいことですが、マラリアの予防には、忌避剤だけではなく、予防内服薬や蚊帳など複合的な対策をとってください。

兼任講師 古賀才博

2)海外駐在者への労災適応

4月27日に東京高裁は、上海駐在中に死亡した男性(当時45歳)について労災保険の適用を認めました。海外勤務でも国内事業所に所属する出張者の場合は、業務中におきた疾病について労災保険が適用されます。しかし、駐在者の場合は事前に「特別加入」の手続きをしていないと、労災保険の適用が認められませんでした。今回の駐在者は特別加入をしていませんしたが、「仕事内容」や「国内事業所からの指揮系統」などを精査した結果、出張者と同等と判断されたものです(日本経済新聞 2016-4-27)。 

 

・渡航者医療センターからのお知らせ

企業からの相談窓口(有料)の設置

当センターでは企業の健康管理や人事労務の担当者を対象にした、海外勤務者の健康管理に関する相談窓口(有料)を準備中です。年間契約をいただければ、契約期間中は何回でも相談をすることができます。相談には専門の医師が対応いたします。6月中には当センターのホームページに詳細を掲載いたしますので、是非、ご活用ください。http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/tokou/index.html
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