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福島の旅館「いづみや」の元経営会社が特別清算、負債1億円

  • 2016年5月10日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、福島県福島市の穴原温泉で温泉旅館「いづみや」を経営していたAOIが4月20日、東京地方裁判所から特別清算の開始決定を受けた。負債総額は1億円。

 AOIは1971年に穴原温泉いづみやとして設立。1835年に創業したとされる老舗の温泉旅館「いづみや」を経営し、固定客を有していた。91年6月には約17億円を投じて旅館の増改築を実施し、ピーク時には年間5億円以上の売上高を計上。しかしその後は市況の低迷から業績が伸び悩み、2006年8月期には売上高は2億円台にまで落ち込んだ。東日本大震災後は復旧工事の作業員などの宿泊が増加し、年間売上高は3億円台にまで回復。しかし過去の設備投資による多くの借入金により、資金繰りは逼迫していた。

 これを受けて穴原温泉いづみやは、14年11月に中小企業再生ファンドを運営する福島リカバリに金融債務を移管。福島リカバリ主導のもと経営債権をめざしていた。同年12月には新会社のいづみやを設立し、15年3月31日付で会社分割をおこない新会社に旅館事業を譲渡。その後は15年8月に商号を穴原温泉いづみやからAOIに変更し、16年2月の株主総会の決議により解散した。温泉旅館「いづみや」は新会社が営業を続けている。