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【熊本地震】熊本市内の観光に影響、他地域は軽微

  • 2016年4月15日

 熊本県で4月14日夜に発生した地震を受けて関係各所は15日、情報収集などの対応を開始した。熊本県観光課は、宿泊施設や観光施設などに対してキャンセル状況などの調査を開始。実態の把握に努めているが、被害は中心都市の熊本市で特に顕著で『しばらくは営業できない』など、ダメージもあると聞いている」という。さらに発生時期がゴールデンウィーク直前ということもあり「今後はかなりの影響が考えられる」との見方を示す。

 同課によれば地震の影響が大きいのは「熊本市と隣接する(震度7を記録した)益城町のみで、非常に局所的」とのこと。阿蘇や天草、そのほか人吉温泉などの温泉地については影響は軽微だという。しかし今後は風評被害や過剰反応などが考えられることから、「当然、キャンセルは発生するだろう」と懸念する。

 同県では地震発生直後に災害対策本部を設置。宿泊者の怪我人の発生状況については、15日朝に国土交通省が発表した3人以外の情報は入っていないという。対策本部は今後も情報の収集と発信に努める考え。

 同県に滞在中の訪日外国人旅行者への被害については、15日昼の時点では把握していないとのこと。なお、同課には15日、香港からのツアーの添乗員から電話があり、利用する予定だった飲食店が閉店していたため、代わりとなる飲食店の情報を請われたという。

 熊本県旅館ホテル生活衛生共同組合も、15日午後の時点で情報の把握に努めている。宿泊施設は市内の中心部と東部で被害が大きく、各施設の築年数によっては影響が長期化する見込み。同組合によれば「中小の保険に入っていないような施設では、営業していけなくなるところが数件は出る」という。今後は今回の地震が政府の激甚災害に指定され、被害のあった宿泊施設が長期的な支援の対象となることを期待する。

 同組合では、震度7が計測された益城町からの避難民を、被害の少なかった県内各地の宿泊施設に受け入れる予定。厚生労働省と熊本県が締結している協定によるもので、現在は各施設の受入可能人数を確認しているという。

 そのほかには「被害は少ないのに、温泉地のキャンセルがどんどん出ていると聞く。ゴールデンウィークを控えて風評被害が心配」とコメント。「新幹線の脱線や、熊本城の石垣の崩落のニュースに加えて、『震度7』の強調など、一般メディアの報道のインパクトは大きい」と懸念を示す。

 全国旅行業協会(ANTA)の熊本県支部も、宿泊施設などのキャンセル状況や、旅行者の安否を確認するための調査を開始。会員会社72社については人的被害はなく、「益城町の2、3社を除けば、社屋などにも大きな被害はなかった」という。今後の対応方針については、熊本県観光連盟などの決定を受けて検討する。

 そのほか、ANTA本部も災害対策本部を設置。熊本に送客している全国の会員会社に状況の確認を求めるとともに、現地や政府からの情報を周知するとしている。また、被害にあった会員会社には補助を検討するという。

 日本政府観光局(JNTO)は、グローバルサイトで交通機関などに関する情報を発信。また、風評被害の発生を防ぐため、今後は各自治体が提供する情報をJNTOのウェブサイトに掲載するという。そのほか海外事務所を通じて、各国での報道に関する調査し、その内容を集約する予定。

※4月15日午後の時点の状況と対応であり、変化している可能性があります。