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バス事故の旅行3社を行政処分、登録取消も-観光庁と都

  • 2016年3月20日

 観光庁と東京都は3月18日、1月に軽井沢で発生したスキーバス転落事故に関して、旅行会社3社に行政処分をおこなった。観光庁は東京都の第1種旅行業のトップトラベルサービスに対して、本社営業所における旅行業務を3月20日から54日間停止するよう命じ、東京都は第2種旅行業のキースツアーに対して3月18日付で旅行業の登録を取り消すとともに、フジメイトトラベルに対しては本社営業所における旅行業務を3月19日から54日間停止するよう命じた。いずれも事前の発表通りの処分となった。

 これらの行政処分は、いずれも3月18日に開催した聴聞を踏まえたもの。聴聞には3社ともに出席せず、観光庁と都が、それぞれ事前に提出した陳述書を代読した。なお、すでに締結している旅行契約の履行に必要な業務は旅行業務の停止対象外とする。

 観光庁はトップトラベルサービスに関しては、旅行業務取扱管理者が貸切バス運行業者の安全確保に関する取り組みなどを把握をしていなかったことや、バスの行程に関する連絡体制を確認しておらず、旅行開始前に旅行者に確実にサービスを提供するための必要な措置を講じていなかったことを指摘。観光庁によれば同社は陳述書で、安全確保に対する取り組みを直接把握していなかった点は認めたが、バスの座席提供を依頼していたキースツアーを介して、間接的に取り組みを把握していた旨を説明。行程変更時の連絡体制については、キースツアーと24時間連絡できる体制を構築していたとした。

 東京都はキースツアーとフジメイトトラベルについては、旅行業務取扱管理者が貸切バス運行業者から交付された運送引受書を保管していなかったこと、運行業者の安全確保に関する取り組みなどを把握をしていなかったこと、バスの行程に関する連絡体制を確認しておらず、旅行開始前に旅行者に確実にサービスを提供するための必要な措置を講じていなかったことを指摘。キースツアーについては、貸切バス運賃の下限額を下回る「下限割れ運賃」で契約したことも問題視していた。

 東京都によればキースツアーは陳述書で、旅行業の取消処分は「当然のこと」であり、被害者に対し誠意を持って対応する姿勢を明示。処分の要因の1つである、行程変更の際の連絡体制の不備については、バス運行会社のイーエスピーと、キースツアーとイーエスピーの仲介をおこなった旅行会社のトラベルスタンドジャパンとの3社間で連絡体制を確立しており、スキーシーズンの開始前に打ち合わせもおこなっていた旨を説明し、不備を否定した。フジメイトトラベルは陳述書で、同社が指摘を真摯に受け止めて改善に取り組んでおり、現在は適切に運用している旨を説明したという。