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中国復活に向けJATAが緊急フォーラム、新ルート提案へ

  • 2016年3月3日

 日本旅行業協会(JATA)は3月22日、旅行会社などを対象に「中国旅行復活緊急フォーラム」を開催する。中国旅行需要の喚起と観光素材の開発、旅行商品造成の促進をめざすためのもので、中国における公共交通などのインフラ整備状況や、新しい観光ルート・素材を紹介する。JATA海外旅行推進部担当副部長の酒井秀則氏は、昨年5月に日中文化観光交流団として約3000名が訪中したことや、2017年に迎える日中国交正常化45周年などについて言及し「外的環境も改善しており、需要の喚起と回復に取り組む絶好の機会」と語った。

 日本政府観光局(JNTO)によれば日本人出国者数のピークは12年の1849万人で、昨年の出国者数は12年比で228万人減の1621万人にまで落ち込んでいるが、酒井氏はその主な要因が中国と韓国への渡航者減にある旨を説明。海外旅行全体の復活のためには、訪中旅行の回復が重要であるとの見方を示した。15年の訪中日本人旅行者数は12年比28.6%減の250万人と約100万人減少しているが、「数値目標は検討中だが、17年には(12年の)350万人まで戻していきたい」考え。16年の目標値は300万人に設定する見込みという。

 酒井氏は、近年の中国は新幹線や高速道路の整備などで、新しい観光地を訪問しやすくなってきていると説明。日中間の航空路線も訪日中国人旅行者の増加を受けて12年比で約150万席増えており、宿泊施設は5ツ星のホテルがここ数年間で急増し、現在は国内で約860軒が営業していると語った。そのほか新たな観光地や観光素材も増加しており、中国の観光地の格付けで最上級の「5A」ランクの観光地は、12年から15年までの間に新たに64ヶ所登録されて計186ヶ所に上るなど、旅行先としての中国の可能性が拡大していることも強調した。

 また、同氏は中国へのFITが増加するなか、旅行会社のツアーを見直す必要性を指摘。フォーラムでは、交通インフラなどの改善を踏まえた新しいモデルコースを5種類程度紹介する予定で、そのうち1つはシルクロードを訪問するツアーだという。そのほか北京や上海などの大都市と、郊外の高級ホテルでの滞在を組みあわせたツアーも提案したい考えだ。

 「中国旅行復活緊急フォーラム」では、ワークショップとセミナーを実施。ワークショップには5ツ星ホテルを展開するホテルチェーンや、日系・中国系航空会社など16社が参加する予定で、目標参加者数は100名とした。セミナーは「中国旅行新時代に向けて~中国商品100万人リカバリー~」をテーマに、JATA副会長の菊間潤吾氏がモデレーターを担当する。パネリストは中国国家旅游局駐日本代表処首席代表の羅玉泉氏のほか、大手旅行会社や中国専門の旅行会社、中国の現地事情に詳しい有識者など5名が参加する予定だ。

 また、フォーラム開催後は中国国家旅游局と協力し、観光ルートや観光素材などを体験する現地視察を実施。さらに、海外旅行推進部内でプロジェクトチームを発足する予定という。

▽「中国旅行復活緊急フォーラム」概要
日時:2016年3月22日(火)
会場:JATA研修室4階
開催時間:
13時00分~14時30分 ワークショップ
15時00分~17時00分 中国旅行復活緊急セミナー