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トップインタビュー:韓国観光公社日本地域本部長の康重石氏

国交正常化50周年はMERSに泣くも
首脳会談実現で来年は復活へ

 韓国観光公社(KTO)日本地域本部長の康重石(カン・ジュンソク)氏はこのほど本誌の取材に応え、国交正常化50周年を迎えた2015年を振り返るとともに、16年の展望について語った。今年は5月の中東呼吸器症候群(MERS)の発生により、年間の訪韓日本人旅行者数は前年をさらに下回る見込みだが、一方で11月には待望の日韓首脳会談が実現。来年は「復活の年」にしたいという。18年から国を挙げて実施する、3ヶ年の「ビジット・コリア・イヤー」についても概要を伺った。


-国交正常化50周年の今年はどんな年でしたか

康重石氏(以下敬称略) 50周年を迎えるにあたり、さまざまな事業やキャンペーンで訪韓日本人旅行者数の回復をめざしていたが、3ヶ月近く続いたMERSの騒動の影響で、結果的にはうまくいかなかった。個人的にはMERSさえなければ、年間では前年比1割増の250万人程度まで戻せると考えていたが、それどころか7月の単月では前年の半分以下にまで減少し、通年では前年比2割減の180万人程度にとどまると思う。

 ピーク時の12年から見ると、訪韓日本人旅行者の数はほぼ半分に減ってしまった。一方で訪日韓国人旅行者の数は、円安の後押しなどもあり約45%増えて、通年では380万人に上る見通しだ。韓国の人口が日本の半分以下であることを考えると、アンバランスな状況になっている。


-7月下旬の韓国政府によるMERS終息宣言以降は、日本人旅行者数の減少幅も縮小傾向にあります

 日本人旅行者数の回復は他国に比べれば遅いが、それでも9月には2割減程度に縮小した。10月の暫定値は約5%減となり、11月も同程度となる見込みで、12月には前年並みに戻せると見ている。旅行会社や航空会社などの情報によれば、東京などの大都市圏では日本人旅行者の大半を占めるFITを中心に、すでに昨年並みの水準には戻っており、11月と12月については昨年を上回ると聞いている。

 MERSについては世界保健機関(WHO)による最終的な終息宣言こそ出ていないが、旅行における安全性に関してはまったく問題ないことを、改めて強調したい。流行はほとんどが院内感染によるもので、その後も何百万人もの外国人が韓国を旅行しているが、感染者は1人も出ていない。それでも一般のマスコミは、万が一のケースの話ばかりしている。