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旅行会社もビジネスジェットの活用を-日本ビジネス航空協会がセミナー

  • 2015年11月2日

JBAA会長の北林克比古氏  日本ビジネス航空協会(JBAA)はこのほど、日本旅行業協会(JATA)の協力により旅行会社向けのセミナーを開催した。JBAAは1996年設立の一般社団法人で、日本でのビジネスジェット(プライベートジェット)の普及や運航環境の改善などを目的に活動している。冒頭で登壇したJBAA会長の北林克比古氏は「ビジネスジェットは(日本では)まだ一般的に普及していないが、必要なときに必要な場所に自由に行き来できる手段として、定期航空サービスとは異なる特質を備えている」と、ビジネスジェットを利用するメリットを強調した。

 JBAA副会長の佐藤和信氏によると、ビジネスジェットは経営者だけでなく中間管理職、専門技術者などの出張や、著名人の移動手段、富裕層の観光などに利用されている。特に欧米では、直接面会しての交渉や緊急時の対応、短期間で多地点を訪問する際のビジネスツールとして積極的に活用されているという。また、ビジネスジェットには、利用者が自家用機を使用して運航する形以外に、個別の運航会社から事業用機をチャーターしておこなう「オンデマンドチャーター」があり、後者は旅行会社が関わる余地が十分にあると語った。

JBAA副会長の佐藤和信氏  佐藤氏によれば、ビジネスジェット機の数は2015年3月末現在、世界全体で2万244機に上り、最も多い米国では1万3133機が所有されている。しかし日本ではまだまだ絶対数が少なく、民間所有の日本籍機はわずか27機。日本企業が外国籍で所有している機体を含めても約50機程度にとどまっているという。

 同氏はビジネスジェットの問い合わせについて、企業の総務部や秘書室などから直接依頼を受けるケースに加え、クライアントから問い合わせを受けた旅行会社から依頼を受けることが多いと説明。ただし、旅行会社のビジネスジェットに対する認知度がまだ低いことから「企業から問い合わせを受けても、旅行会社が(対応しきれずに)そのままにしてしまうことがあるのでは」とし、「旅行会社にビジネスジェットという手段をもっと知ってもらいたい」と語った。

 同氏はビジネスジェットのメリットとして、専用のCIQ施設などを利用することで空港での待ち時間が短縮できる点や、利用者のスケジュールに合わせた運航が可能で、定期便がない空港にも移動できる点などを挙げた。さらに、利用者のプライバシーが確保でき、機内で商談や会議なども可能であることも紹介し、旅行会社に対してはこれらのメリットを国内外の企業や富裕層にアピールし、活用を提案していくよう呼びかけた。

朝日航洋航空事業本部東日本支社担当部長の下嶋努氏  朝日航洋航空事業本部東日本支社担当部長の下嶋努氏は、ビジネスジェットの利用者は予算よりも自分のニーズにあったサービスや効率的な時間の使い方を重視すると説明。担当者との入念な打ち合わせやスムーズなオペレーションが必須となるが、高額商品であるため旅行会社も利益を得やすいとした。

 このほか、セミナーでは、ビジネスジェット事業を展開する、朝日航洋、丸紅エアロスペース、ユニバーサル・アビエーションの各社が具体的な活用事例を紹介。国際線の事例では、大手町から韓国の東大邱駅まで行く場合、定期航空便を利用すると成田/釜山線を利用し、釜山から東大邱駅まで車で移動するため7時間15分かかるが、羽田空港から大邱空港にビジネスジェットで移動すれば、車での移動時間を含めて3時間30分で到着できると説明した。国内線については、単純往復よりも周遊する場合が効果的であるとし、名古屋小牧から庄内、花巻、名古屋小牧を周遊した例について説明した。