鬼怒川温泉、プラザホテル除き営業継続-風評被害に懸念

  • 2015年9月11日

 9月9日から10日にかけて、台風18号による大雨の影響を受けた栃木県日光市の鬼怒川温泉では、露天風呂が崩落した鬼怒川プラザホテルが月内の休業を決めたが、同市の公営観光案内所などによれば、9月11日午後の時点で残りの宿泊施設は営業を実施している。鬼怒川プラザホテルは、当初は10日から18日までの営業休止を予定していたが、水道設備に大きな支障をきたしたことから、30日の完了を目途に復旧工事を継続。それまでの間は休業することとした。部分的な浸水など比較的軽微な被害にとどまった宿泊施設は館内の安全を確認し、一部機能が使用不可となっている旨を利用者に伝えた上で、営業をおこなっているという。

 本誌の取材に応えた鬼怒川プラザホテルは、同地域のその他の宿泊施設は営業を続けていることや、アクセスの途絶も一部の鉄道やバス、道路に限られていることを強調。「報道ではそれらの情報が伝えられていない」と指摘し、風評被害が発生する可能性に対し懸念を示した。

 全国旅行業協会(ANTA)は、11日午後の時点では情報を収集中としながらも、会員会社が送客している旅行者への被害は報告されていないと伝えた。ただし会員会社の今後の取り扱いについてはキャンセルも出始めており、シルバーウィークの予約への影響については「交通機関の復旧の度合いによる。週明け以降の様子に注視したい」と説明した。

 観光庁も情報を収集しているが、11日午後の時点で同地域の宿泊客には直接的な被害が及んでいないことを確認。訪日外国人旅行者に対しても、特段の対応を取る必要性には迫られなかったという。今後の風評被害などによる観光業への影響も、現時点では考えにくいとした。

 東武日光線、鬼怒川線、宇都宮線などを活用して多くの観光客を送客している東武トップツアーズでは、10日から11日までの取扱客についてはほとんどがキャンセルとなったものの、現時点で週明けおよびシルバーウィークの予約には大きな影響は出ていない旨を説明。「状況を見ながら、キャンセルするか否かを検討しているのでは」との見方を示した。ただし、今後の動向については運転を見合わせている東武鬼怒川線や、通行止めとなっている一部の道路などの復旧状況に左右されるとし「状況は極めて流動的」とした。

 そのほか、ジェイティービー(JTB)は「宿泊プランの取り扱いが多いこともあり、現時点では大きな動きはない」と説明。KNT-CTホールディングスは「キャンセルの報告もあり、影響は避けられないのでは」と見通しを示した。日本旅行は、現時点では正確な見通しは立たないとしたものの「影響は出るかもしれない。シルバーウィークや紅葉のシーズンに向けて早期のインフラ復旧を期待する」とコメント。阪急交通社は「心配した予約者などからの問い合わせはあるが、今のところそれほど大きな影響はない」と伝えた。