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スクート、16年の関空線デイリー化に意欲-新千歳就航も検討

  • 2015年9月3日

成田での記念式典の様子。(左から)国交省東京航空局成田国際空港長の木村氏、TZシンガポール本社営業本部長のグリーンウェイ氏、NAA常務取締役の林田秀喜氏、TZ日本・韓国支社長の坪川氏 スクート(TZ)は9月3日、成田/台北(桃園)/シンガポール線にボーイングB787-9型機を導入した。合わせて来日したTZシンガポール本社営業本部長のスティーブン・グリーンウェイ氏は本誌のインタビューに応え、成田線をもってB787型機の全線への導入が完了したと説明。今後は日本での展開をさらに強化していく考えで、現在は週6便で運航中の関空/ドンムアンまたは高雄/シンガポール線をデイリー化する意向を示した。2016年中盤以降に新千歳への就航も検討しているという。

 関空線は、現在週3便で運航中のドンムアン経由便を1便増便し、高雄経由便と合わせて週7便で運航したい考え。TZによると、関空/ドンムアン間の搭乗率は月平均で70%から80%、関空/高雄間は80%。タイは今後の市場の成長が見込めるデスティネーションとの考えから、ドンムアン経由便を増やしたい方針だ。

(右から)TZシンガポール本社営業本部長のスティーブン・グリーンウェイ氏、日本・韓国支社長の坪川成樹氏 TZ日本・韓国支社長の坪川成樹氏によると、当初は16年1月に増便する予定だったが、バンコクでの爆発事件の影響で、現在は増便時期を検討しているところ。グリーンウェイ氏も「ここ数ヶ月で市場の状況を見て、タイミングを判断したい」と語った。ただし、事件後にバンコクへの需要は減少したが、タイ北部やプーケットへの訪問者数は安定しており、それほど落ち込んでいないという。

 グリーンウェイ氏は関空/ドンムアン間を週4便で運航することで、旅行会社に対しては商品造成の利便性が高まるとともに、消費者にとっても選択肢が広がるとアピールした。TZ全体の販路を見ると、同社ウェブサイトでの直販が6割、旅行会社を含む「その他」が4割。オーストラリアなど9割以上がウェブサイトの直販という市場もあるが、日本、韓国、中国は旅行会社経由の販売が多いという。坪川氏も「日本は7割から8割が旅行会社経由」と語り、日本市場での旅行会社の重要性を強調した。

 さらに、グリーンウェイ氏は新千歳への就航に意欲を示した。TZではB787型機を20機発注しており、このうちB787-8型機1機、B787-9型機6機を受領済み。16年3月にはB787型機で10機体制となる計画だ。今後受領する3機はメルボルン、杭州、南京線での利用が決定しているが、その後は未定。16年中盤以降、さらに3機増加する見込みだといい、その機材を活用した新たな就航先の1つとして、新千歳を検討していると語った。

 また、グリーンウェイ氏は、ノックエア(DD)とTZが共同出資したタイのLCC、ノックスクート(XW)についても言及。国際民間航空機関(ICAO)などの動きを受けて国土交通省がタイ国籍の航空会社の新規就航などを規制しているため、規制緩和後にはなるが、成田/ドンムアン線を定期便で運航したいと語った。XWでは15年春に同区間でチャーター便を運航しており、搭乗率は85%から90%と好調だった。今後は10月1日から12月末日まで、同区間でチャーター便を60往復実施する予定で、来年1月から3月もおこないたい考えだ。

 このほか、同氏は成田/シンガポール間について、将来的に同区間をノンストップで運航する可能性を示唆。現在同区間を運航中のシンガポール航空(SQ)との差別化については、SQはビジネス需要で航空会社のサービスを重視する層、TZはレジャー需要で、航空会社ではなく訪問先での消費を重視する層をターゲットにしており「棲み分けができている」と語った。

 ただし、現在の台湾経由のビジネスモデルが成功裏に進んでいるため、「当分は直行便化しない」見通し。TZによると、成田/台北間の平均搭乗率は90%から95%、台北/シンガポール間は80%から85%。なかでも成田/台湾間は7月が95.1%、8月が94.9%と好調に推移しているという。