ホテルオークラ、トルコ進出で合弁会社-1軒目はカッパドキア

  • 2015年6月8日

 ホテルオークラはトルコ共和国に進出する計画だ。地元企業などとアンカラに合弁会社「オークラ サライリ オテル ヨネティム」を設立し、トルコ内で本格的にホテル運営に乗り出す。同社によると、日系ラグジュアリーホテルチェーンのトルコへの進出は初めて。6月8日の記者会見で、ホテルオークラ代表取締役社長の荻田敏宏氏は「今後3年から5年で、トルコ内で3軒から5軒(のホテル開業)が1つのターゲット」とし、オークラ、グランドニッコー、ニッコーの3ブランドを主力ブランドとして展開していく方針を示した。

 第1軒目は2017年にカッパドキアに「オークラ スパ&リゾート カッパドキア(仮称)」を開業する予定だ。荻田氏によると、次の候補地としてはイスタンブールやアンカラ、イズミールを見ており、イスタンブールについては「プロジェクトとして4つほど検討している」。合弁会社のパートナーであるサライリツーリズムのヴァイスプレジデントのムラート・サライリ氏も、「イスタンブールは東西文化の融合を感じられる地理的に素晴らしい場所」とし、「空港への道やビジネス街、旧市街など特別なエリアを選んでターゲットにしていく」とした。なお、イスタンブールでのホテルの部屋数は150室から300室となる見込みだ。

 ホテルオークラでは現在国内48軒、海外26軒、計74軒のホテルを展開している。荻田氏は2020年までの中期目標として国内50軒、海外50軒の計100軒をめざしている旨を説明。海外でのホテル展開を強化し、今後は中国やベトナムなどの東南アジア、トルコなどの需要拡大が見込める地域で「集中的な店舗展開を視野に入れている」とした。その上で「現地運営会社を設立し、しっかりと足のついた営業、サービスをしていく」考えだ。

 合弁会社はホテル経営や不動産投資などを展開するアンカラのサライリ ツーリズム社、不動産開発の仲介やアドバイザリー業務をおこなうイスタンブールのエムエスアイシー ガイリメンクル ヤティリム ヴェ ダニシマンリク ティジャレット(MSIC)社と設立。2014年11月5日に基本同意書に調印し、今年2月3日にアンカラに設立した。出資比率はホテルオークラとサライリツーリズムが44%ずつ、MSICが12%。

 また、荻田氏は「トルコは地理的な優位性、高い経済成長性、歴史、文化、自然について多くの観光資源を有している点、世界有数の親日国家であることなどから、オークラグループの海外事業展開において非常に重要な国と認識している」と出店の理由を説明。イスラム過激派組織ISILなどの影響については「若干の影響はあるが、我々にとっては短期的ではなく長期的にトルコでビジネスをおこなうことが重要」とコメントし、「4年ほど前から有望な市場として見てきており、一時の影響で変更する必要はない」との考えを示した。


▽オークラ スパ&リゾート カッパドキアを17年に開業

 オークラ スパ&リゾート カッパドキアは、世界遺産のカッパドキアの岩窟群に隣接する街、ムスタファパシャの中心に位置しており、カッパドキア空港から約55キロメートル。今年4月、イスタンブールでホテル事業やエネルギー事業、アパレル事業などを手がけるウングンホールディングの子会社、ティーシーエム ツーリズム オテルシリック ヒズメット タシマジリック インシャアット社と、ホテル運営契約の基本合意書を締結した。

 ホテルはスパホテル棟とリゾートホテル棟の2棟で構成されており、地下1階、地上3階で、総客室数はジャグジー付きのスイートを含む約130室。スパ施設や屋内外のプール、日本食を提供するレストランや小会議室などを設ける予定だ。また、ウングンホールディングCOOのオルジャイ・ウングン氏によると、ホテル敷地内には天然温泉があり、温水を利用したエコエネルギーも利用する見込み。敷地内には昔の聖職者用の宿泊施設やワインセラーなどの歴史的建造物もあり、遺産保護の観点からそのまま保護し、ホテルの一部として活用していく。このほか、サービス面では日本人スタッフによる研修をおこない、日本ならではの「おもてなし」を提供していくという。

 荻田氏によると、稼働率はリゾートホテルの平均である60%を見込んでおり、目標として65%をめざしたいとした。宿泊客のうち4割が日本人、6割がヨーロッパやアジアからとなる予想で、販売は日本市場については8割以上が旅行会社経由となる見込み。海外市場については直販によりFIT層に訴求していきたいとした。