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トラベルコーポレーションJ、10月から欧州の取扱停止-アフリカは継続

  • 2015年5月10日

 英国のトラベルコーポレーション・アジアの子会社であるトラベルコーポレーション・ジャパンはこのほど、2015年10月31日をもって欧州方面へのツアーに関する取扱業務を停止することを明らかにした。同社は日本の旅行会社向けに海外旅行商品の現地手配部分のみをユニット販売しているが、イスラム教過激派組織ISILの台頭などで日本における欧州旅行市場が低迷していることなどを考慮した。受注済み分の10月31日までのツアーに関する手配については、予定通り実施する。同社によれば欧州方面は、現在の売上高の3分の2を占める。

 事業のもう1つの柱で、残りの3分の1を占めるアフリカ方面の取り扱いについては、市場の将来性などに鑑み、今後も継続する。例外的にアフリカ方面として取り扱ってきた、ギリシャおよび東地中海方面のトルコやクロアチアなど一部の欧州諸国については、今後もアフリカ方面として取り扱う予定。そのほか世界各国からの訪日外国人旅行者の送客についても、従来と同様に継続する。

 同社では今回の取扱停止の要因として、ISILの台頭などによる政情不安や円安傾向の継続などを示した上で、日本の海外旅行市場が「成長の兆しを見せず、長期的な成長が見込めない状態にある」と指摘。検討は数年前から進めており、これまでも日本の旅行市場が世界的な感染症の拡大や自然災害などの影響に関して、他国よりも大きな影響を受けてきたことを勘案したという。なお、中国やインドネシアなどその他のアジア諸国では引き続き、欧州方面の取り扱いを継続する。

 そのほかトラベルコーポレーション・アジア社では、日本市場においてサービスの低価格化が進む一方で、人件費などの営業コストは依然として高いこと、その結果として利幅が小さいことなどを問題視。また、欧州では多くのサプライヤーがキャンセル発生時などの補償負担を受け入れなくなってきており、変更補償金が地上手配会社にとって大きな負担となっていることを指摘している。さらには「ホテルのスペースは日本以外の市場にも大変大きな需要があり、より収益性の高い市場にフォーカスせざるを得ない」とも説明している。