HIS澤田氏、低利益率でも「旅行業やめない」-幹部育成にも意欲

  • 2015年4月23日(木)

HIS代表取締役会長の澤田秀雄氏(クリックで関連記事に移動) エイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役会長の澤田秀雄氏はこのほど、旅行業界の勉強会「十人会」が日本旅行業女性の会との共催で開催した最終例会で講演とトークショーをおこない、旅行業に対して「厳しくてもやめない」と改めて意欲を示した。澤田氏はトークショー終了後の質疑応答で、ハウステンボスなどテーマパーク事業の利益率に比べて、本業の旅行業の利益率が極端に低いことを指摘した記者からの質問に対し、“旅行代理店”の厳しさについては述べたものの、「旅行産業は平和産業であり大切な産業」と強調。「”旅行業”をやめるつもりはない」と宣言した。

 記者の質問は、3月に同社が発表した2015年10月期第1四半期(2014年11月1日~2015年1月31日)の連結業績において、主力の旅行事業は売上高1129億4600万円に対して営業利益23億2400万円しか上げられなかった一方で、ハウステンボス(HTB)などのテーマパーク事業は売上高83億7300万円に対して営業利益27億9200万円を上げたことを受けたもの。澤田氏は旅行事業については、「売れる時期には席などがもらえず、値段も上げられる。旅行“代理店”は大変な仕事」と説明。「それでも年間100億円ぐらいの利益はあるので、旅行業界の中では利益率が良い方だと思っていた」と語った。

 一方でテーマパーク事業については、「HTBを始めて考え方が変わった。設備投資はかかるが、胴元なら自分で値段もコントロールできる」と述べ、「やはり胴元はいい」と明言。「HISは30年かけてようやく(年間の利益が)100億円を超え始めたが、HTBは5年で100億に近づいている」と強調した。

 ただし、記者からの「旅行業に取り組む意欲が薄れるのでは」との質問に対しては、「旅行産業は素晴らしい産業。平和産業であり、健康産業であり、リフレッシュ産業であり、教育産業でもある」と反論。「(反日感情を持っていた)中国人旅行者が日本に来てみたら、印象が変わったというケースもある。多くの人が旅先を楽しみ、知ることで平和になる。我々はそのお手伝いをしている」と説明し、「コミッションは少なくても、やめるつもりはない」と強調した。

 そのほか、後継者については「まだ考えていない」とコメント。ただし人材育成については、20代や30代の若手を10年後または20年後の幹部に育成する「研修道場」を作り、2年から3年かけて総合的に教育するシステムを構築していることを報告した。

 エクスペディアなど海外OTAへの対抗策については、「脅威ではあるが、アジアや日本ではまだまだ我々の方が強い」との見方を示し、「アジアの市場はいずれ世界一になるので、十分に対抗の余地はある」と明言。システム面の対応、マーケティング、仕入れなどを強化して対抗する構えを見せた。

 なお、十人会はこの日の最終例会で20年の歴史に幕を下ろした。同会は、澤田氏の最初の著作「旅行ビジネスという冒険」の出版を契機として1995年に発足。会の名称は、吉村忠司氏を会長とするメンバー10人で創立したことに由来する。吉村氏の死去に伴い、07年からは会長に当時ダイヤモンド・ビッグ社の社長だった西川敏晴氏が、副会長には澤田氏と当時アップルワールドの社長だった竹中公道氏が就任。勉強会だけでなく、日本盲導犬協会などに300万円以上の寄付をおこなうなど、社会貢献にも積極的に取り組んでいた。

▽訂正案内(編集部 2015年4月28日16時45分)
・訂正箇所:第1段落第1文
誤:「十人会」の最終例会で

正:「十人会」が日本旅行業女性の会との共催で開催した最終例会で

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