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JATA、15年度は中韓回復「第1命題に」-事業骨子を発表

  • 2015年4月16日

 日本旅行業協会はこのほど、2015年度の事業基本骨子をまとめ、4月16日の業界誌向け定例記者会見で公表した。2016年度までの目標として、新たに「4000万人相互交流時代に向けた業界目標」と銘打ち、年間海外渡航者2000万人の達成に向けた需要喚起や業界内外の環境整備、訪日外国人旅行者2000万人の実現に向けた課題の抽出と解決に向けた施策実行などに取り組む。会見で説明をおこなった事務局長の越智良典氏は、そのなかでも特に訪中・訪韓市場の回復を「第1命題」として強調。「回復軌道に乗せ100万人を取り返せば弾みがつく」と意欲を示した。

 そのほかには、有給休暇取得向上などの休暇制度改革、日本の旅行産業の国内外における地位の向上と確立、昨年度から開始した「ツーリズムEXPOジャパン」を世界3大ツーリズムイベントに成長させることを目標に掲げた。また、国内旅行における旅行会社のリーダーシップを確実にする、「国民1人あたり2.5泊達成」の目標達成に向け、関係者との連携や施策の実行にも務めるとした。

 JATAは15年度事業では、基本的に14年度事業の補強と強化をはかり、「さらなる高みに向けた挑戦の年」としたい考え。キャンペーン「ニッポンを遊びつくせ」による宿泊旅行の拡大、「JATAの道プロジェクト」による着地型旅行の普及など、一定の効果が見られたものについては引き続き実施。燃油サーチャージの航空運賃への吸収、国際チャータービジネスの一本化、ツアーオペレーター品質認証制度の普及、旅行業法制度や休暇制度改革に関する検討など、効果が見える形で現れていないものについては強化をはかる。

 新規事業としては、5月に訪中する3000名規模の「日中観光文化交流団」や、「日韓国交正常化50周年プロジェクト」などによる訪中・訪韓市場の回復に注力する姿勢を表明。「海の日はずし」問題を踏まえたハッピーマンデー制度の維持、「エリア・スペシャリスト」制度の定着、旅行安全マネジメントの推進、不当表示防止や障害者差別解消法への対応などにも注力するとした。

 休暇制度については「現行制度の中で長期休暇を取れるような提言を出す」と説明。旅行安全マネジメントについては、ガイドラインの見直しに向け、観光庁や外務省と意見交換を実施し、具体的対策などを盛り込む方針を示した。不当表示防止や障害者差別解消法への対応については、「旅行会社の経営に大きく影響する」ことから、JATAでも特別に委員会を立ち上げたことを報告。今後の「重点事項になる」とした。そのほか「ツーリズムEXPOジャパン」のさらなる成長に向け、「JAPAN NIGHT」や顕彰事業の見直しなどをおこなう考えも示した。

 JATAでは今年度最初の政策提言として、4月22日には観光庁に対し、海外・国内・訪日旅行のさらなる拡大に向けた提言をおこなう予定。海外旅行については海外渡航者数2000万人の実現に向けた国の支援、国内旅行については定住人口が減少する状況下でのビジネススキーム、訪日旅行については訪日外国人旅行者数2000万人時代における旅行の質の管理や、インフラ整備などに焦点をあてるという。