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国交省、タイ航空会社の新規就航など認可中断-XWは延期、XJは札幌線調整中

  • 2015年3月31日

 国土交通省航空局は、タイ国籍の航空会社に対し、新規就航や増便、チャーターなどの認可を中断している。国際民間航空機関(ICAO)とタイ国政府間で、安全上の課題について協議されている状況を踏まえたもの。

 こうした動きを受け、新規就航やチャーターを予定してた航空会社はそれぞれの対応を実施。ノックスクート(XW)は2014年12月23日から2015年1月4日までと、3月22日から28日までは日本/バンコク(ドンムアン)間のチャーターを実施していたが、同社によると3月29日以降については許可を得ることができなかった。

 このため3月29日の成田/バンコク(ドンムアン)線以降、スクート(TZ)での振り替えや一部フライトのキャンセル、他社便への振り替えなどを実施。4月1日から2日についてはスクート(TZ)の代替便に振り替え、4月3日は関空/ドンムアン間のチャーターについては他社便への誘導を実施するほか、引き続き対応に努めていく。当初就航を予定してた同区間の定期便についても「不測の事態により、許可の取得に遅れが生じている」ことから就航を延期した。

 また、タイ・エアアジアX(XJ)は5月1日から新千歳/バンコク(ドンムアン)線の直行便を就航する予定だが、実現に向けて国交省と調整を進めていくとした。同社は3月31日にバンコク市内で記者会見を開いており、ICAOがタイ航空当局に対し「安全上の懸念(SSC)」を示したことで、国交省航空局から新規就航便数や機材の変更などの認可を凍結するという通達があった旨を説明。XJによると、タイ民間航空省はICAOに対して是正措置を提出しており、現在でもICAOによる審査はおこなわれているところ。SSC発表前に運航していた既存路線については通常通りの運航が認められているという。

 新千歳/バンコク線のうち対象となるのは5月1日から6月30日の運航分で、7月1日以降は引き続き国交省とタイ民間航空省による調整を踏まえ、改めて対応を公表するとした。7月1日以降の予約については、6月30日までの便または他のXJの日本発着路線に無料で変更。エアアジアグループで利用できるクレジットシェルへの変更や、全額払い戻しも受け付ける。

 チャーターでは、例えばアジア・アトランティック・エアラインズ(HB/AAA)が日本各地からチャーターを計画しており、4月10日から16日まで成田/バンコク間で7往復を予定していた。ゴールデンウィークにも計画があったが「ペンディングの状態」だという。予約者に対しては説明し、代替便を提案しているところ。タイからの訪日旅行、日本発のGWの海外旅行にかなりの影響があるといい、両国の航空当局に対し陳情しているところとした。

 また、ジェットアジアエアウェイズ(JF)によると、3月31日から4月17日の間、成田/バンコク(スワンナプーム)間で9本の臨時便を運航する予定だったが認可が降りず、自社便、他社便について振り替えをおこなっているという。


▽太田大臣、安全運航前提に「できるだけ多くの旅客の往来」協力を

 国土交通大臣の太田昭宏氏は3月31日の定例会見で、「ICAOとタイ国政府との間の中身の詳細についてはICAOのルールによりお話することを差し控える」としながらも、話し合いがおこなわれていることから「日本とタイとの間の航空当局間で、今後の対応について協議を開始している」と語った。

 航空局航空ネットワーク部によると、今後はタイ国政府とICAOの動きを踏まえ、両国の航空局同士の話し合いを進めていくとした。航空局が2014年3月7日に発出した「外国人国際航空運送事業等の許可等の審査(安全関係)及び安全監視等に係る実施要項」によると、ICAOから「重要な安全性の懸念(SSC)」があると指摘された国の航空会社については、日本未就航の航空会社の新たな乗り入れは許可せず、日本に乗り入れている航空会社に対しては増便、新規就航、機材変更などは許可しないとしている。

 ただし、太田氏は「安全運航の確保を大前提とするのは必須」とした上で、タイについては「日タイ間の重要かつ友好的な二国間関係」に加え、タイからの訪日外客の増加を踏まえ「できるだけ多くの旅客が日タイ間を往来できるよう、両航空当局間でどのような協力ができるか、今検討している」と説明。航空ネットワーク部も、実施要項をそのまま適用することが決まったわけではないとし、両国間で多くの人的流動があるタイの正月や日本のゴールデンウィークが近いことも考慮し、検討をなるべく早く進めていきたいと語った。