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襲撃事件で大手各社がチュニジア行き中止-MSCは寄港地変更

  • 2015年3月21日

MSCスプレンディダ  チュニジアの首都チュニスで3月18日に発生した、武装集団による観光客襲撃事件を受け、旅行会社各社はチュニジア訪問を含むツアーの中止などの対応を開始した。今回の事件では、MSCクルーズのMSCスプレンディダに乗船していた日本人観光客3人が死亡。外務省では3月19日に、事件のあったチュニス市の渡航情報を「渡航の是非を検討してください」に引き上げており、観光庁も通達「海外旅行における安全確保の徹底について」を発出している。

 ジェイティービー(JTB)は事件発生時、チュニジア訪問を含むツアーを催行中だったものの、チュニジアを発った後に事件が発生したことから、ツアーはその後も予定通り継続したという。ただし渡航情報が引き上げられたことを受け、同社グループのチュニジア行き募集型企画旅行については、催行を5月31日出発分まで中止するとした。今回の事件を契機とした予約への大きな影響は、現在のところは見られていないという。

 KNT-CTホールディングスは、4月以降にMSCクルーズの地中海クルーズを利用するツアーを予定していたところ。しかし、チュニジア訪問を含むものは今後のルート変更が考えられるため、「予約には対応するが、積極的には販売できない状況」という。今後のヨーロッパ方面などの予約状況については、「現時点で大きな影響はない」ものの、今後の成り行き次第で大きな影響が出ることを懸念。特に地中海沿岸諸国への影響を危惧しているとした。

 阪急交通社は、添乗員1名を含む総勢25名のツアーがMSCスプレンディダに乗船していたが、参加者に被害はなかったという。現時点ではそのほかにチュニジア訪問を含むツアーは設定していないが、今後、チュニジアへの商品の販売を再開するか否かについては、状況次第とした。なお、ヨーロッパ方面などを含めて、広告出稿については特に削減する予定はないとした。

 日本旅行は、5月1日以降に予定していたチュニス訪問を含む地中海クルーズ商品を、5月30日まで中止することを決定。エイチ・アイ・エス(HIS)も、当面のチュニジア行きツアーの催行中止を決定した。

 ジャルパックとANAセールスの2社は、現在のところはチュニジア訪問を含む商品は設定していない。ヨーロッパ方面への影響については、ジャルパックは「特段の問い合わせはない」と回答。ANAセールスは「旅行会社や一般消費者から、キャンセル状況などに関する問い合わせがいくつかあった」と説明した。ともに予約への直接的な影響は見られないという。

 なお、MSCクルーズはスイス時間の19日に、2015年の夏季スケジュールですべてのチュニジア訪問を中止することを発表した。運航ルートを変更するのは、同社が保有する12隻のうち、MSCスプレンディダ、MSCファンタジア、MSCプレチオーサ、MSCディヴィーナの4隻。代替の寄港地として、マルタ島やマジョルカ島などを予定している。