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観光庁、危機管理強化でパンフ配布、JATAを支援-東名阪セミナーも

  • 2015年2月25日

東京でのセミナーの様子 観光庁は、旅行業界における危機管理体制の構築の強化に向け、パンフレット「旅行業界のための旅行安全マネジメントのすすめ」を3月中に完成させ、4万部を全国の旅行会社に配布する。観光庁は2013年の旅行産業研究会で、旅行会社に安全マネジメントの導入を徹底していく方針を明確化。同年12月には日本旅行業協会(JATA)が提言「観光危機管理体制における組織的マネジメントのあり方」をまとめて会員各社に周知しているが、さらなる徹底に向け、観光庁が後押しする。2月24日には都内で「旅行安全マネジメント普及セミナー」も開催した。

観光庁観光産業課旅行安全対策推進室長の丸山一夫氏 主催者を代表して挨拶した観光庁観光産業課旅行安全対策推進室長の丸山一夫氏は、近年では旅行会社が企画したツアーにおいて重大事故が発生していることに加え、事件や災害などに巻き込まれるケースも多発していることを説明。結果的に旅行会社に対しては、「安全を最優先する意識が浸透していない」との指摘が聞かれることし、参加者には改めて旅行商品を提供する際の安全管理の徹底を訴えた。

旅行会社の危機管理体制について説明する越智氏 JATA事務局長で、外務省が所管する海外法人安全協会の理事も務める越智良典氏は、同パンフレットの概要に加えて、旅行会社が取るべき危機管理体制について改めて説明。「我々の努力でリスクは下げられる。安心・安全に向けた取り組みによって、お客様の信頼を得ている旅行会社もある」と述べるとともに、「そのことが会社や従業員を守ることにつながる」と強調。参加者には危機管理体制構築のさらなる強化を求めた。

 越智氏は、安全管理体制構築の基本となる安全管理責任者の任命、毎年7月1日の「旅の安全の日」における模擬訓練の実施、自主点検リストを活用した定期的なチェックの3点を、特に実践すべき「旅行安全マネジメントの3つのポイント」として強調。JATAではこの3つについて、昨年からの3ヶ年計画で実施率100%をめざすとしている。そのほかには、外務省が昨年7月から開始した一般向けの海外旅行者情報登録サービス「たびレジ」についても活用を訴えた。

日本アイラック代表取締役社長の国原秀則氏 この日は、海外での事故に対する支援サービス事業をおこなう日本アイラックの代表取締役社長の国原秀則氏が、近年の取扱事故の傾向や事例などについて紹介。旅行会社による事故発生時の対応が成功するか否かについては、「初動で8割が決まるといわれている」と述べるとともに、適切な対応をサポートするための緊急連絡網の整備や刷新、事故対応マニュアルの社内周知、模擬訓練の実施などについて必要性を説いた。また、ツアー参加者に対しては海外旅行保険への加入を必須条件とすることなども提案した。

 なお、観光庁によれば、同庁が今回のようなセミナーを開催したのはこれが初めて。2月26日には名古屋、27日には大阪でもセミナーを開催する。