オーストラリア、シェア拡大へ業界と関係強化、座席増にも期待

  • 2014年5月13日

(左から)TA本局局長のジョン・オサリバン氏、日本・韓国地区局長のアンドリュー・ライリー氏(ケアンズ発:松本裕一) オーストラリア政府観光局(TA)本局局長のジョン・オサリバン氏と日本・韓国地区局長のアンドリュー・ライリー氏が5月13日、ケアンズで開催中の旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2014」の会場で旅行業界メディアのインタビューに応じ、日本市場からの誘客強化に向けて旅行業界との関係深化や航空座席の増加に取り組んでいく方針を語った。

 オサリバン氏は、「日本市場とは長く、親密な関係を構築してきた歴史があり、ポートフォリオを考える上で間違いなく鍵となる市場」であると断言。日本市場は2013年の日本人旅行者数が前年比7.1%減の35万3900人となるなど伸び悩んでいることについても、「近年の苦戦は認識しているが、改善に向けて最大限の努力をおこなっている」と強調した。

 ライリー氏は、オーストラリアを訪れる日本人旅行者の規模が出国者全体の2%程度に留まっている現状を指摘し、これを「18ヶ月以内に1%上積みして3%に引き上げたい」とコメント。日本人出国者を1800万人と仮定すると54万人が目標となるが、各種の取り組みにより達成をめざす考えだ。

 具体的な施策としては、本局が食とワインに焦点を当てて展開する「レストラン・オーストラリア」のプロモーションに合わせ、日本でも食文化の側面を積極的にアピール。ライリー氏によると「レストラン・オーストラリアはキャンペーンではなく、アプローチ」で、それのみで訪豪を促すのではなく、カンガルー、コアラ、自然など既存の体験に食事やワインに関連する情報を付加して多層的な魅力を訴えていく。

 また、旅行会社との関係については、業界担当セクションを引き続き堅持するほか、2011年まで開催していた日本市場向けの旅行商談会「ジャパン・オーストラリア・ミッション(JAM)」を、2015年3月に「オーストラリア・インダストリー・イン・ジャパン(Australia Industry in Japan、AIJ)」と衣替えして復活する方針。

 これは現地サプライヤーが訪日して商談をおこなうもので、JAMの廃止時には、逆に日本の旅行会社従業員を招聘して実際のオーストラリアについての理解度を向上することを意図していたが、今回の再開では「オーストラリアの旅行業界が常に日本市場に対して真剣であることを示す」(ライリー氏)ことに重点を置き、これにより双方向の結びつきを強固にしていきたいという。

 このほか、オンライン教育プログラムの「オージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)」の刷新も計画。現在は19段階ある内容をシンプルに取りまとめるとともに、全世界向けに構築されたASPの内容を日本語に翻訳するだけでなく、日本市場で求められる情報も追加。今年9月から12月の間には新しいASPを公開したい考えだ。

 さらに、TAとして日豪間の航空座席増にも取り組んでいるところ。カンタス航空(QF)やジェットスター航空(JQ)だけでなく、例えばATEの会場では日本航空(JL)との意見交換もおこなったといい、オサリバン氏によると今後の路線拡充の可能性を感じられたという。また、ライリー氏も航空会社名は明かさなかったが、「2015年の下半期には新しい航空サービス、新しい座席供給が期待できると強く確信している」と言及した。