G20諸国など、ビザの発給の円滑化促す「メリダ宣言」採択

  • 2012年5月21日

 観光庁によると、G20諸国(主要20ヶ国・地域)の観光担当大臣やEU議長国、世界観光機関(UNWTO)をはじめ国際機関などによる「第4回Tourism20(T20)観光担当大臣会合」が5月15日、16日にメキシコのメリダで開催された。会合では「雇用創出する観光」をテーマに議論を実施。観光による雇用の創出と経済発展の促進をはかるため、ビザ発給の円滑化の重要性を強調し、今後の調査・研究や円滑化の実現を提案した「メリダ宣言」が採択された。

 「メリダ宣言」では、観光は雇用機会の創出、国民所得の増加、賃金バランスの改善や経済成長の押し上げに重要な役割を演じると宣言。世界旅行ツーリズム協会(WTTC)によると、観光は総額で世界のGDPの9%相当を占めており、世界雇用の8%を占める雇用創出の原動力とした。

 また、会議で公表された世界観光機関(UNWTO)とWTTCの予備調査によると、2011年にはG20諸国に6億5600万人の国際観光客が訪問しており、うち1億900万人はビザを必要とする市場から訪問しているため、「ビザ円滑化の改善により富の創造と雇用創出を促すチャンスに繋がると信じている」という。ビザ円滑化プロセスの啓発と実施により、2015年までにG20諸国で国際観光客が最大で1億1200万人増加し、観光収入は2060億米ドルの増加、最大510万人の新規雇用の創出が可能との見込みだ。

 こうした状況から、宣言では「提案」とし、国際公約の枠組み内で国際機関と協力の上、「各国の権限と安全保障を損なうことなくビザ制度と発給プロセスの改善に取り組む」とした。具体的にはESTAなどの電子ビザ申請や発給といった新しい技術の活用や、EUのシェンゲン協定など「地域全体に利益をもたらす二国間、地域的、および国際的ビザ促進プログラムおよびその他の旅行促進制度」を調査、研究し、可能であれば実施するよう提案した。

 今後は6月にメキシコのロス・カボスで開催されるG20首脳会合の議題に「メリダ宣言」を盛り込むよう、調整を進めていく予定だ。