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海外旅行業況が3期連続で上昇、卒業旅行で学生伸び-JATA調査

  • 2012年3月28日

 日本旅行業協会(JATA)が2012年2月7日から21日まで実施した旅行市場動向調査によると、現況(2012年1月~3月)の海外旅行のDI値(※)は、3ヶ月前と比べて2ポイント上昇し、マイナス9となった。2011年6月期の調査から3回連続で上昇しており、今回は特に卒業旅行シーズンもあって学生需要が大きく上昇した。方面別では、円高傾向や燃油サーチャージの影響で、引き続き近距離アジアの上昇傾向が強く、長距離方面のアメリカ・カナダ、欧州は低下。しかし、3ヶ月後はアジア好調が継続しつつ欧州、北米の旅行シーズン本格化、LCC利用の旅行需要拡大などにより、さらに2ポイント上昇しマイナス7との見通しだ。

 方面別では、3ヶ月前に比べてミクロネシアが10ポイント増と2ケタ上昇し、オセアニア、アジアが8ポイント増、ハワイが7ポイント増、中国が1ポイント増と上昇。ただし、アジアのうち韓国は3ヶ月前の26から22と4ポイント低下した。冬場のアメリカ・カナダは7ポイント減、欧州は5ポイント減。3ヶ月後の見通しでは中国が9ポイント、欧州は4ポイント、アメリカ・カナダは3ポイント、韓国が2ポイント、それぞれ上昇している。

 顧客層別の現況は、卒業旅行シーズンであることもあって学生が30ポイント増と大幅に上昇。また、OLが4ポイント増、インセンティブが2ポイント増、シニアが1ポイント上昇した。商用・視察は8ポイント減、ハネムーンは5ポイント減、ファミリーが1ポイント減となった。3ヶ月後は学生が13ポイント低下するものの、シニアが8ポイント増、ファミリー5ポイント増、ハネムーン4ポイント増など、学生以外全ての層で上昇する。特に、シニアのDI値がプラスとなる見通しで、JATAでは、前年に旅行を控えていた65歳以上のアクティブシニアの需要の高まりに対し、旅行業界の期待が表れたとみている。

 なお、国内旅行は寒波や大雪の影響で3ヶ月前よりも10ポイント低下し、マイナス24となった。ただし、震災前の水準は維持しており、中でも東日本地域では東北を除き震災前水準まで回復した。3ヶ月後は東京スカイツリー開業や新東名高速道路の開通など、新たな観光スポットがオープンすることもあって8ポイント上昇し、マイナス16となる見通しだ。東日本を中心に旅行需要の拡大が期待されているという。また、国内でもシニアのDI値はプラスに転じる見込みだ。


※DI値は設問事項に対し、「良い」、「普通」、「悪い」、「取り扱っていない」の4回答を用意、この回答からシェアを算出するもの。「全て良い」場合にはプラス100となる。JATA調査では、JATA会員会社の経営者などに対してインターネットでアンケートを実施し、業態、顧客層、方面別に業況判断をDI値を導出している。今回は設定数596社のうち、299社から回答があった。