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HIS、売上・利益とも過去最高-今期も2桁増へ、チャーター3倍

  • 2011年12月18日

HIS代表取締役社長の平林朗氏  エイチ・アイ・エス(HIS)の2011年10月期(2010年11月1日~2011年10月31日)の連結業績で、売上高が前年比9.4%増の3808億500万円、営業利益が49.8%増の94億700万円、経常利益が119.2%増の110億500万円、当期純利益が145.2%増の83億円となり、いずれも過去最高を更新した。海外送客数も2.5%増の287万人で過去最高。経常利益は長期為替予約の終了、純利益はスカイマーク(BC)株の売却益により大きく増加している。

 震災により、「4月から6月は大きく打撃を受けた」(HIS代表取締役社長の平林朗氏)ものの、7月から10月に回復。主力の旅行事業で商品単価や原価率の改善、生産効率を重視した営業展開が奏功したという。また、訪日が低迷する中で日本市場向けの座席が増加したことも追い風となったといい、平林氏は「席が倍になった感覚」とし、座席供給量次第で日本の海外旅行需要はまだ伸びると期待を示した。

 2012年10月期については、売上高は16.6%増の4440億円、営業利益は16.9%増の110億円を予想。経常利益は13.6%増の125億円で、当期純利益は2011年10月期のBC株売却益の反動で9.6%減の75億円とした。海外旅行需要は、国内LCCの設立や外国航空会社の新規就航、円高傾向、オリンピックなどにより緩やかな増加傾向を示すとの予測で、送客数は309万人を目標に設定。訪日や国内旅行も、回復に向けて引き続き堅調に推移するとの見方だ。

 なお、HISの取扱状況では、訪日需要は11月の時点ですでにほぼ前年並みに戻っているといい、台湾、香港、中国はすでにプラスに転じたところ。韓国は前年を下回っているものの、1ケタの減少に回復してきたといい、平林氏は「年末ごろには前年並みに戻るのではないか」と語った。


▽チャーター3倍、バンコク以外にも設定へ

 2012年10月期の業績予想の達成に向けては、既存店舗や先ごろに発表した航空券検索システムなど多様化した販売チャネルを強化するほか、初めて公式旅行代理店となったロンドン・オリンピックの観戦ツアーなど、引き続き旬な素材の商品化を進めていく。

 また、訪日需要が回復するにつれて販売可能な座席が減少するとの予測のもと、チャーター便を積極的に活用する方針で、2011年10月期と比較して本数ベースで3倍に拡大する計画という。2011年は、7月から9月にかけてバンコクにビジネスエアー(8B)のチャーター便をデイリーで設定したところ「大成功した」といい、2012年も同様のスキームで他のデスティネーションにも設定していく方針。LCCについても、「協業できるのであればどことでも(取り組む)」考えで、こうした施策により合計で309万人の送客をめざす。

 このほか、日本発だけでなく海外発の旅行需要拡大に取り組んでいきたいといい、さらに国内旅行も大きく強化する方針。海外事業については、「海外から海外の取り扱いが目に見えて伸びてきている」という。