7月の日本人出国者数、5ヶ月ぶりの前年超え-訪日外客は36.1%減で伸び悩む

  • 2011年8月21日

 日本政府観光局(JNTO)によると、7月の日本人出国者数の推計値は前年比4.5%増の146万9000人となり、5ヶ月ぶりに前年を上回った。円高が進んだことで海外旅行需要が盛り返したという。ただし、東日本大震災の影響で被災地からの海外旅行需要は減退した。

 訪日外客数は36.1%減の56万1700人。人数は震災発生後過去最高となったが、減少幅は6月の36.0%減とほぼ変わらず伸び悩んだ。原発事故問題が完全に収束しておらず、安心、安全への懸念が残っていることが大きく影響したという。また、7月に日本国内の一部の牛肉から放射性物質が検出された問題が報じられたことで、食への不安も高まったことや、円高やサーチャージの上昇、中国、台湾で夏休み期間の航空運賃の上昇により格安ツアーの設定が難しくなったことなどもマイナス要因となった。

 国や地域別では、中国が47.2%減の8万7100人と減少幅がもっとも大きかった。中国から九州へのクルーズ旅行が7月もすべて中止となったことや、放射能の子供への影響を懸念して家族旅行や教育旅行が敬遠されていることが影響しているという。次いでカナダが44.7%減の8000人、フランスが43.8%減の9100人、ロシアが41.2%減の2900人と減少幅が大きかった。

 なお、ビジット・ジャパン事業の最重点4市場のうち、中国以外をみると、香港が41.2%減の4万500人、韓国が40.7%減の14万100人となっており、減少幅は大きいものの縮小傾向にある。また、台湾は25.8%減の11万3500人となり、4月の67.4%減を底に順調に回復。7月は夏休みの航空運賃の上昇で回復がやや鈍化したが、北海道への旅行が道東への団体ツアーを中心に好調だという。