全日空、B787初便は岡山か広島
-伊東社長、ビジネスチャンス拡大に期待

  • 2011年7月4日
初飛来したボーイングB787型機

 全日空(NH)は7月4日、今夏に受領予定のボーイングB787型機(ドリームライナー)初飛来にあわせて公開イベントを開催し、代表取締役社長の伊東信一郎氏が定期便での初就航地は羽田/岡山、または広島とすることを発表した。どちらの都市に先に就航するかは未定だが、1日のうちに両都市に運航する計画。当初は国内線に就航して多くのパイロットを養成し、国際線は今年度中にヨーロッパかアメリカ東海岸に就航すべく調整中だ。NHは現在、同機材を55機発注しており、今年度は14機、来年度は10機、受領する予定。今後の成長戦略の一環として、国内、国際の基幹路線に導入していくとしている。

 B787型機は8月、9月の引渡しに向けて開発の最終段階にあり、今回の公開イベントは、日本での検証プログラム(SROV)の実施にともなうもの。当初は2008年の引渡しの予定で、伊東氏は「待ったかいがあり、よい風が吹きつつある。ANA塗装の実際の機体を目の前にすると感慨もひとしお」と喜びを語った。また、B787型機の導入により、「これまで大型機でないと就航できず、大型機に見合った需要がなければ就航できなかった長距離路線にも飛ばすことができ、ビジネスチャンスを大きく拡大してくれる」と期待も示した。

(左から)NH代表取締役社長の伊東信一郎氏、ボーイング民間航空機部門社長兼CEOのジム・オルボー氏

 また、ボーイング民間航空機部門の社長兼CEOのジム・オルボー氏は、同機材を「21世紀の最先端技術をはじめて搭載した航空機」と述べ、「航空機の作り方、さらに旅行そのもののイメージも大きく変えた。そういう意味で今日のイベントや今後のプログラムも歴史的な意味がある」と語った。ボーイングでは同機材を現在、835機受注しており、2013年までには年間120機を生産する計画をしている。

 SROVでは、羽田、伊丹、関西、岡山、広島の各空港で実際の航空環境下での実飛行を実施し、NHの整備士や地上スタッフも実機活用した検証作業をおこなう。伊東氏は「ドリームライナーの名前のとおり、世界の人々の夢を乗せて愛される航空機となるよう、安全に円滑にローンチさせ、大切に育てていきたい」と語った。

 なお、B787型機は2004年4月にNHがローンチカスタマーとなり、開発に参画してきた次世代の中型航空機。機体の全部品のうち、主翼や接合部などの35%を、東レや三菱重工、川崎重工、富士重工の日本企業が担当しており、イベントの会見で伊東氏は「日本のものづくりの粋が凝縮された飛行機」、オルボー氏も日本を「ドリームライナーの生みの親のひとつ」と称した。機体構造の基本素材に炭素繊維を用いて、燃費効率を約20%以上改善し、環境性能を向上させたのが大きな特徴だが、そのほか機体の耐久性向上やキャビンの広さ、静音性、空調・機内気圧の改良など、機内の居住空間の快適さも向上している。