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5月の訪日外客は半減、過去2番目の減少幅に-各国の退避勧告は緩和へ

  • 2011年6月17日

 日本政府観光局(JNTO)によると、5月の訪日外客数の推計値は前年比50.4%減の35万8000人であった。東日本大震災発生後から減少幅は徐々に縮まっているものの、前年に比べて約半減。月次ベースでの減少幅を過去50年間の全ての月でみると、2011年4月は62.5%減と過去最大を記録し、2011年5月は50.4%減と2番目、2011年3月は50.3%減と3番目となっている。

 JNTOでは福島第一原子力発電所の事故が収束せず、各国のメディアで随時こうした状況が報じられており、旅行の前提となる安全、安心に対する懸念が高い状態にあると分析。また、震災発生後、日本と諸外国を運航する航空便も縮小しているほか、訪日教育旅行も延期、中止となっており、近年人気のあった中国から九州への5のクルーズが中止となった。一方、諸外国では被災地や日本への渡航自粛、退避などを求める勧告を緩和。4月以降、旅行会社や航空会社が割安な料金設定で旅行商品を販売したことも奏功し、訪日団体旅行が一部再開し始めている。

 国、地域別にみると、香港が71.6%減の1万1600人と大幅に減少した。これも全体的な傾向と同様で、原発問題による安心、安全への懸念や日本/香港間の航空便の縮小が影響しているという。次いで、マレーシアが60.0%減の4100人、ドイツが59.8%減の4400人、カナダが59.7%減の5800人と減少。また、韓国ではごく微量の放射能物質が日本列島や朝鮮半島や周辺地域に飛来していることから、人体への影響について不安視されたこともあり、58.3%減の8万4100人となった。一方、5月22日には日中韓の首脳が東京で第4回日中韓サミットを開催し、3ヶ国間の観光交流発展に向け、正確な情報発信や訪日客の需要回復に向けて協力することで合意している。

 なお、日本人出国者数は8.4%減の115万6000人で、3ヶ月連続で前年を下回った。旅行に対する自粛ムードが広がり、海外旅行需要は縮小した。ただし、1991年の湾岸戦争や2001年の9.11テロ、2003年のSARS、2009年のリーマンショックなどの影響が最も強く表れた月と比べると、減少幅は大きくなかったという。