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ジャルパック、TDR商品の研修旅行を実施
-風評に負けない販促を

  • 2011年5月25日
午後のディズニーシー内部。研修旅行の日は平日で午前中が雨だったこともあり、人影はまばらだ(5月24日13時30分撮影)

 ジャルパックは5月24日、東京ディズニーリゾート(TDR)商品の販促活動の一環として、全国の販売店を対象にした研修旅行の第一弾を1泊2日で実施した。東日本大震災後、風評被害の影響で需要が伸び悩むTDR商品の集客強化がねらいだ。ジャルパック代表取締役社長の大西誠氏は「TDRは東京方面の観光の核となるもの」とし、TDR商品が国内旅行の主力商品であることを強調。「一刻も早く元通りTDRへお客様にきていただけるよう、精一杯努力していきたい」と意欲を述べた。


 同社によるとこうした全国規模でのTDRの研修旅行は今回が初めてのこと。5月から6月までに3回にわたって実施する予定だ。今回は大阪、中国、四国地方から17名が参加し、TDRと周辺ホテルの視察を行なった。



風評被害に対し、正確な情報提供を


ジャルパック代表取締役社長の大西誠氏

 TDRは東京ディズニーランドが4月15日、東京ディズニーシーが4月28日から運営を再開。ジャルパックでは運営再開後は予約から入ってきているという。ジャルパック販売部業務グループマネージャーの浦上卓志氏によると「パーク内がすいていることから、今が行き時と考え、間際で予約する顧客もある」動きもある。しかし、震災による自粛傾向や浦安地区の液状化問題などに対する風評により、旅行者は伸び悩んでいるのが現状だという。


 そうした状況のなか、大西氏は、「東京や東日本の状況について、実感をお持ちいただくのが難しい」と述べ、消費者に誤った風評被害が広がる中、一般消費者に対しTDRの現状をいかに伝えていくかを課題としてあげる。参加した旅行会社からも「TDRの液状化は大丈夫か、といった問い合わせがある」との意見もあり、観光ができる現状の共有が十分に伝わっていない状況がみられる。大西氏は参加者に対し、実際に現場を見て現状を知ることで「多くのお客様や近隣の方々に『TDRは大丈夫、いつもどおり楽しく営業している』と伝え、今後の販促、販売活動に役立てていただきたい」と呼びかけた。



伸び悩む地方客、旅行会社の送客に期待


研修旅行ではTDR周辺のホテルを見学した

 TDR周辺のホテルによると、運営再開後からは予約が入り始めており、ホテルによってはお盆を中心とする夏休みや9月の3連休など、先々の予約が入っているところもある。全体の傾向としては、地方からの宿泊客が伸び悩んでいるという。特に全宿泊客の6割から7割を占めていた関西方面からの宿泊客が3割近くまで落ち込んでいるホテルもあった。


 「西日本のリカバリーをいかに実施していくか」を課題としてあげるホテルもあり、消費者と直に接する旅行会社への期待は大きい。研修旅行中のインスペクションでは、ホテル側から「ホテルは震災の影響もなく、TDRも普段と変わらない状況で営業している。改めてお客様におすすめし、送客につなげてほしい」と参加者に呼びかける場面も見うけられた。


 一方、参加した旅行会社によると、福島原子力発電所事故の問題や、浦安方面の液状化問題による風評被害がいまだ強いという。香川の旅行会社によると、TDR商品と九州商品が主力商品だが、震災後は九州、沖縄に顧客が流れており、ゴールデンウィークもほとんどが九州や沖縄への送客だった。また、岡山の旅行会社では東京方面は値下げやプレゼントキャンペーンを実施しても、顧客の反応は鈍かったという。しかし、実際に視察をすることで、参加者からは「液状化による観光に影響ない」「各ホテルの特徴や売りが実際に見てよくわかった」との声があがった。夏休みの旅行先でTDR商品の相談をされることもあり、夏に向けて「より積極的に販売していきたい」と意欲をみせる。



主力のTDR商品、オフィシャルスポンサーを強みに独自の特典を設定


JALパック独自の往復無料送迎バス「マジカルファンタジー号」。道路事情によるが、40分程度でTDRへ到着する

 5月24日にはジャルパック商品に組み込まれたホテルを視察後、商品説明会が行なわれた。大西氏は、日本航空(JL)がTDRのオフィシャルスポンサーであることを強みとし「オリエンタルランドと協力しながら、より柔軟な商品づくりに取り組んでいく」ことで、独自の商品を設定し、販売促進につなげていく方針を示した。


 同社ではジャルパック独自の特典として、羽田空港/TDRを結ぶ往復無料バス「マジカルファンタジー号」を設定。また、「JALパック JALで行く東京ディズニーリゾート」では、ポップコーンのスーベニアバケットのプレゼントや、人気アトラクション「ビックバンドビート」鑑賞券をプレゼントするなど、オフィシャルスポンサーの強みをいかした特典を用意。参加した旅行会社からは「特典がしっかりしている。TDRと結びついたものが多いので、お客様にメリットを薦めやすい」との声もあがっていた。




全国300店舗で店頭キャンペーンを実施 上期中の需要回復めざす


 ジャルパックでは5月23日から、全国300店舗の販売店でポスターやPOPを利用し、TDR商品などを含むJALパック商品をアピールするキャンペーンを展開。顧客に商品の露出を増やすことで、予約に結びつけたい考えだ。


 大西氏は、こうした活動を通し、震災後の旅行需要を「上期中には戻していきたい」考えを示した。国内旅行は間際需要が堅調で、近距離は間際でも予約しやすいことから人気が高いという。


 なお、海外旅行については「国内と比べてまだ弱い」としながらも、ハワイを中心に予約人数が伸びてきており、8月については昨年と同じ程度の数になっていることから「決して悲観はしていない。ハワイをきっかけに全体を押し上げていきたい」と意欲を見せた。




取材:栗本奈央子




※訂正案内(編集部 2011年5月26日 10時15分)
ジャルパック販売部業務グループマネージャーの浦上卓志氏のお名前に誤りがありました。お詫びするとともに訂正いたします。