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日本ナショナルトラスト、自然、文化遺産復興を支援
-募金キャンペーン開始

  • 2011年5月25日
(左から)文化庁長官の近藤誠一氏、日本ナショナルトラスト副会長の川村恒明氏、観光庁長官の溝畑宏氏


 日本ナショナルトラスト(JNT)は東日本大震災で被害にあった自然、文化遺産に対し、復興支援プロジェクトを開始した。5月20日に開催された記者会見で、JNT副会長の川村恒明氏は「地域のシンボルとなるような優れた自然遺産、文化遺産が、非常に多くの被害を受けている」とし、被災した自然、文化遺産の所有者、管理者などが行なう復興、復旧活動の支援事業を実施することで「地域の営みを大切にし、観光資源として活用する礎にしたい」考えを示した。

 まずは募金キャンペーンを実施し、支援事業のための寄付をつのる。受付期間は2011年5月20日から2013年3月31日までの2年間だが、被害状況によって期間を延長する場合もあるという。その後、支援対象事業を公募し、JNTが設置する「(仮称)東日本大震災自然・文化遺産復興支援特別委員会」で選定する。支援事業は2012年度から2021年度までの10年間で実施する。募集期間は2011年10月から12月で、その後、事業実施の前年度10月から12月に募集する。

 また、国や専門家、国内外との活動団体とのネットワークを生かし、被害状況の把握につとめるとともに、専門的な知識、技術を結集し、被災地域のニーズに応じた支援を実施していく。

 支援対象は、建造物などの不動産の有形文化財の修理、遺跡、名勝地、天然記念物などの記念物の復興、被災により継承が困難になった民俗文化財や無形文化財の修理、復旧など。文化財指定の有無は問わないが、原則として国の補助対象となる復旧事業は支援の対象外とした。

 同プロジェクトは観光庁が後援し、文化庁の協力で実施されるもの。観光庁長官の溝畑宏氏は「観光においてもこの活動は有意義」とし「復旧が進むことは、結果として観光地のポテンシャルが復活することもつながっていく」と期待を示した。また、文化庁長官の近藤誠一氏は「国の手が十分及ばないところまで決め細やかに対応していただけるのは、大変嬉しい」とし、「観光庁、JNTが一体となって、地元の復旧の心の支えになるような文化財、自然遺産の復旧に全力をあげていきたい」と意欲を述べた。