MICEビジネストレンド:国際会議・学会における旅行会社の領分

  • 2009年10月28日(水)
国際会議・学会需要の取り込みに新たな動き
〜内外PCOの連携で日本発需要もねらう〜


 企業会議(Meeting)、企業報奨旅行・視察旅行(Incentive)、国際会議・学会(Convention/Congress)、イベント・国際見本市(Event/Exhibition)の旅行需要を総称してMICEというが、旅行会社のアウトバウンドに関しては大部分が企業報奨旅行・視察旅行に関する取り扱いであるのが実態だ。一方、国際会議や学会需要は企業報奨旅行・視察旅行に比べて小さく、一部の専門業者が地道に取り組んでいる状況。しかし、PCO(プロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー)による新たな取り組みがはじまる気配もある。


大手より専業が活躍する分野

 これまで国際会議や学会の需要を取り込んできたのは、会議・学会に出席する研究者や大学教授などと個人的なコネクションのある旅行会社が中心的だった。大学や研究機関のお膝元にある地場の零細な旅行会社が、長年にわたって築いた人間関係の中で、手堅くビジネスを展開するイメージだ。国際会議・学会の分野では規模が大きい三喜トラベルサービスも、「大手旅行会社が大資本を投下して取り組むようなマーケットではなく、いわばニッチの世界」であると、取締役営業部長の深沢竜也氏は説明する。

 国際会議・学会マーケットは価格に対してさほど敏感ではなく、気心の知れた相手による手配を望むクライアントが多い。このため価格競争力や量販ノウハウに物をいわせるだけでは顧客を獲得できず、大手旅行会社がシステム的に大きな網で需要を囲いこむのも難しい。企業を囲い込んで販売につなげられるインセンティブや国際見本市需要、あるいは個人が相手でも大きな網をかけやすいイベント需要と異なる点だ。

 必ずしも大手旅行会社が有利とならないのは、国際会議・学会の手配の特殊性も関係している。国際会議や学会が開催される際には、主催者側の事務局が現地宿泊施設をブロックしておさえるケースが多い。そのため通常は宿泊仕入力に勝る大手の旅行会社であっても、開催期間中に関しては必ずしも力を発揮できない。しかし長年にわたり国際会議・学会需要に取り組んでいる旅行会社は、主催者側の事務局との太いパイプを生かして確実に宿泊施設を手配できる。三喜トラベルサービスの場合、「35年の実績があり、主に医学・薬学系では最も多い。取り扱いも多いため、この世界での認知度も高く、事務局にも顔が利く。各種手配力で差をつけられるのが強みだ」と深沢氏はいう。


ゼロコミ化が旅行会社の取り組みに影響

 国際会議・学会の市場自体は手堅さはあるものの、ニッチな分だけ大きな成長は望めない。そこにゼロコミッション化が打撃を与えている。一般の業務渡航需要と同じく、国際会議・学会需要においても航空券コミッションは収益源の柱のひとつだった。これがなくなることで、旅行会社も方向転換を余儀なくされている。

 ワールドミーティングは1982年の創業以来、国際会議、見本市などのアウトバウンドの取り扱いを主業務としてきたが、社長の池田悟氏によると「4年前まではアウトが8割だったが、昨年はアウトの取り扱いとそれ以外が5割ずつに変化している」。アウトバウンドの取り扱い比率が急速に下がっているわけだ。というのも相次ぐコミッション率の引き下げにより、「手間がかかる割に収益面のメリットがなくなり、ビジネスとして成立しづらくなった」(池田氏)からだ。以前であれば旅行会社の収益源となった会議への登録手続きなども、かつてのように英文書類の作成などの手間がなくなりインターネットで簡素化され、旅行会社が代行する余地が減ったことなども影響している。

 このためワールドミーティングの場合、一部の固定客を維持する一方で、アウトバウンド以外の分野に比重を移しつつある。具体的には、国内会議関連需要やPCO業務の取り扱い比率を高めている。PCO業務とは会議や学会などを組織・企画・運営する仕事で、旅行ビジネスとは異なる事業分野といえる。最近では講習会、新商品発表セミナーや新教授就任パーティ、学会の懇親会といったイベントやセミナーの取り扱いも増えているとのことで、さらには学会事務局の運営といった業務にもビジネスを広げている。


日欧の大手PCOが合弁事業

 一方で海外のPCO企業による新たな動きもはじまっている。日本における国際コンベンションの開催件数は、ゆっくりではあるが着実に増加しており、この10年間の動きを見ても、1998年に1121件だった開催件数が2003年には1430件となり、2007年には1858件まで増えている。さらに観光立国推進の掛け声のもと、国として国際会議の誘致拡大に乗り出した。観光庁は2011年までに国際会議開催件数を5割以上増やす目標を掲げ、アジア最大の開催国をめざすとしている。

 こうした国の積極的な支援も受けて国際コンベンション大国をめざす日本は、有望な成長市場である。海外の関係企業もこれを放っておかない。ヨーロッパの大手PCOのひとつであるMCIは昨年10月、日本の大手PCOである日本コンベンションサービス(JCS)と合弁で、MCI−JCS Japanを設立し、MCI東京事務所として活動を開始している。日本とヨーロッパの大手PCO同士が合弁する初の事業展開として国際コンベンション業界のエポック的な出来事となり、2008年10月22日のオープニングレセプションには当時の国土交通大臣の金子一義氏も駆けつける盛況ぶりとなった。

 MCIはジュネーブに本拠を置き、アジアを含む世界39ヶ所に拠点網を展開しているが、日本には拠点がなかった。ところが日本で国際コンベンション誘致の取り組みが強化され、海外でも日本での国際会議開催を希望するクライアントが増えることにより、日本の重要性も高まってきた。そこで東京事務所を開設したわけだ。一方、JCSとしても国内のコンベンション市場だけでなく、今後拡大が期待できるインバウンドのコンベンション市場への対応を強化する必要に迫られており、ヨーロッパの大手PCOであるMCI経由で海外からの国際会議需要を取り込むのがねらいだ。

MCI−JCS Japanは、こうしたインバウンドの取り込みだけでなくアウトバウンドへの取り組みも視野に入れており、ジェネラルマネージャーの高橋知佳氏は「アウトバウンドに関しては現在、どのような需要があるのかを関係者にヒアリングしている」という。すでにアウトバウンドに関する検討も開始しているわけだ。同社の場合、MCIが旅行ビジネスを担うサブブランド「OVATION」を傘下に持つため、世界各地における宿泊を含むランド手配やポストコンベンションツアーで強みを発揮できる点がアドバンテージとなる。

 また、MCIの認知度を生かし、欧米に本部を置く国際団体の日本支部にアプローチすることで、運営受託を含むさまざまなサービス提供の強化もはかる方針だ。その結果、日本支部の運営を受託すれば、その団体の国際会議への日本人参加者を一手に取り込むことにもつながる。高橋氏は「アウトバウンドへの取り組みを具体的にどうするか、MCIとJCS双方が出席する12月の取締役会でさらに明確になると思う」としている。


取材:高岸洋行



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