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KNT、中期計画を修正、販売・費用構造を革新−ウェブ強化、不採算部門撤廃

  • 2009年8月12日
 近畿日本ツーリスト(KNT)は2008年に策定した09年から3ヶ年の中期経営計画を修正した。経済の先行き不安や新型インフルエンザの影響で、個人・法人の需要がともに減退していることから、販売構造および費用構造の革新を進めていく。KNT専務取締役の馬越俊司氏は「旅行市場のボリュームは増えない」との見通しから、「確実に利益を残す費用構造を推進していく」と説明。業績目標を修正するとともに2012年度の目標額を新たに設定し、連結の経常損益は2010年度に17億円(修正前:26億円)、2011年度に35億円(同:40億円)、2012年度に41億円の利益計上をめざす。


▽販売構造改革−個人、団体、グローバルの3本柱

 販売構造改革は、(1)個人旅行事業、(2)団体旅行事業、(3)グローバル事業の3分野を対象に施策を実施する。個人旅行事業では、ウェブ販売を強化。メイトおよび、ホリデイのウェブ専用商品の開発や提携サイトとの連携をすすめ、ウェブ販売での売上高を09年度見込みの120億円から2012年度は400億円に引き上げる。また、約75億円を投資して販売基幹システムを開発する。検索機能向上や操作の簡便化や、デジタルテレビなどの新技術に対応した販売チャネル拡大が目的で、2011年に稼動する予定だ。

 団体旅行事業では、首都圏でのSIT商品の造成、地方では教育市場やコンベンション市場を強化。特に地方では地域密着営業を強化し、北海道および九州地区の組織を分社化する。スケジュールや具体的内容については現在調整中だ。さらにグローバル事業では、アジアでのビジネスを強化。まずは09年10月に韓国に現地法人を設立し、今後、タイやインド、香港、台湾などへの進出も視野に入れている。アジアでのグローバル事業の営業収益は、今年度は5億から10億円の見込みだが、2012年度には90億円の計上をめざす。


▽費用構造改革−年金給付制度引下げなど

 一方、費用構造改革では、年金制度改革や赤字店舗の廃止、要員規模の適正化を進める。年金制度の給付水準引き下げは10年度の夏の開始を計画しており、対象は約2300人の現役社員と約1300人のOB。これにより、20億円程度の削減を見込んでおり、今後調整していく。また、赤字店舗の廃止では、団体営業を展開する店舗130ヶ所のうち、10ヶ所程度を候補としてあげており、09年度をめどに不採算部門の撤退や見直しを進めていく。さらに、今年度中に200名規模の希望退職者を募集。2008年度末には4000名だった要員を2012年度に3500名規模に縮小する計画だ。減少する500名の内訳は、200名が希望退職、100名が自然退職、200名が分社化によるものと見込む。

 このほか、グループ会社を含めた効率化と費用削減や、売上原価の見直しを実施していく。これら施策により、人件費で約35億円、ウェブ販売強化による提携販売店の手数料減少で約30億円から40億円、店舗見直しによる賃貸費用や諸経費で約20億円の営業費用削減を見込む。修正後の財務目標は下記の通り。


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