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JATA金井会長、地震は両国に打撃も、今後の相互交流拡大を呼びかけ

  • 2008年8月29日
(西安発:本紙 松本裕一) 日本旅行業協会(JATA)会長の金井耿氏を団長とする中国震災復興支援研修団は8月28日、陝西省長安の視察後、陝西省副省長の景俊海氏らと会談した。金井氏は、「陝西省は古来日本との縁が深く、今でも西安を中心に個人、団体を問わず多くの日本人が訪れる中国の代表的な観光地。四川大地震は両国の観光関係者に大きな打撃となったが、視察の結果として安全で問題なく観光できる状態であったことを的確に伝え、少しでも送客に努め、相互交流を拡大したい」と表明。具体策として、JATA世界旅行博で「加油!中国(がんばれ!中国)」の展示スペースを設置し、中国観光の復興状況を広く伝える。

 これを受け、景氏は「西安を中心とする一帯の名所旧跡、兵馬俑や中国で唯一完全に残っている城壁、朱鷺やパンダ、キンシコウなどが生息する秦嶺山脈など観光スポットが多い。面積の47%が森林で山紫水明の地であり、科学技術や工業、豊富な資源を背景としたビジネスの機会も多く、多くの日本人に訪れてもらいたい」とし、「日本への直行便が就航しており、日本を訪れやすくする政策的なサポートも実施している」と、交流拡大に意欲を見せた。また、2009年までに3本の高速道路が完成する予定で、四川省へのアクセスの利便性も向上するという。

 陝西省旅游局局長の董憲民氏によると、2007年の日本人観光客は13万人で、業務渡航を含めると15万人ほど。SARSの影響で減少するまでは外国人観光客の中で最多であったものの、現在の1位はアメリカ(2007年は22万人)で、2位が日本、3位は韓国(同11万人)。今年の日本市場は前年並みで推移しており、通年で13万人前後を想定。董氏は「日本マーケットは非常に重要。日本の旅行業界とは良いパートナーシップを築いており、さらに交流を深めたい」と強調し、27日に研修団が視察した漢中を含め、陝西省への旅行商品の造成に期待を示した。漢中では、研修団から宿泊インフラ充実の必要性が指摘されたが、「確かに改善の余地がある。グレードの高いホテルが必要と考えており、サービスも同様に改善していきたい」とも語った。

 なお、28日の視察では、一部で地震による被害として報道された世界遺産の兵馬俑を訪問。施設の運営、展示物ともに問題は確認されず、大勢の人で賑わっていた。北京オリンピックを観戦した後というノルウェー人の団体をはじめ、欧米人の姿も多く見られた。展示施設はこの数年で敷地内が公園のように整備され、環境保護のために電動カートが走り、訪れるのは数度目という研修団参加者も変化に驚きの声を上げていた。