国交省、人材育成テーマに産官学会議−人材育成の課題は?経営フォーラムから

  • 2008年3月6日(木)
 国土交通省は観光関係の人材育成をめざした第3回産官学連携検討会議を、3月13日と14日に東京で開催する。国交省では1月に第1回検討会議を立ち上げ、第2回には約40名の参加者を集めたが、今回から観光関係の学部、学科などを対象とした参加者の範囲を広げ、産業界からは経営の最前線に携わる人を招き、これまでよりも具体的なテーマに基づいた意見交換を実施する。産学官の関係者が一同に介する懇親会も開催し、より密接な場を作り出す考え。第3回は160名ほどの出席者が予定されており、学から経営に携わる人との交流を求める声にこたえるため、ジェイティービ会長の舩山龍二氏をはじめ、JTB佐々木社長、日本旅行金井社長なども参加するという。

 こうした産官学での人材育成の重要性が高まる中、先ごろのJATA経営フォーラム分科会B「旅行「業」、もっと若者が目指す産業にするためには?‐その魅力・キャリアパス・ES徹底検証‐」で採用時、入社後、業界としてどのように取り組むべきかが語られた。モデレーターはツーリズム・マーケティング研究所の丸山千春氏、コメンテーターは近畿日本ツーリスト経営企画部経営戦略課長の近藤亜子氏、ディスコ採用広報事業部企画開発部R&M担当部長の志賀信也氏、西武トラベル総務部係長の所洋介氏。

 このうち、志賀氏が最近の新卒採用の状況について、「2004年から5年連続で新卒の求職者が増加し、各業界が奪い合う状態」と述べ、売り手市場へ変化する中で、(1)採用時の対応、(2)入社後のフォローアップ、(3)業界、企業がどのように取り組むべきか、の3つの観点に着目した議論が行われた。


▽売り手市場の2008年採用マーケット、厳選採用は続く

 ディスコが新卒採用を実施した企業を対象とした調査では、5年連続で増加傾向にある求人数が2008年は過去最大を記録、また従業員規模別に見たエントリー数や説明会への参加数を見てみると、圧倒的に大手が優位となった。しかし大手、またそれ以外でも変わらないのが厳選採用で、バブル期の大量採用を反省するかのように、人材の質を重視しているという。バブル崩壊後から、効率的に質の高い学生を採用するためエントリーシートや小論文などハードルを設けた厳選採用が定着しており、新たなアクションを起こし、よりよい人材を確保しようとする買い手の意欲も向上している。

 次に学生モニターを対象にした調査では、10年前と比較してエントリー社数が約半分、またその中で実際に説明会やセミナーに参加するのは半数の40社程度だという。それでも内定率は上昇しており10人に1人は6社以上の内定をもらったというデータもある。

 では、内定獲得から入社決定までで最も影響を受けた人は誰か、という点では人事担当者や企業社員など、学生が直接接する社員の影響が大きい。学生は企業側の採用への取り組みを真剣に見ており、採用意欲の高まりによってさらに学生優位の就職活動となりそう。


業界人気は落ちたのではなく落ち着いた?

 新卒学生の求人数が過去最大を記録する中、かつては人気だった旅行業が低迷しているのはなぜか。近藤氏はその理由として、業界全体の先行不透明感、低収益性からくる待遇面の不安、海外旅行への関心の薄れなどをあげ、新たなビジネスモデルの確立や業界全体で長期的、かつ持続的な広報活動、また若年層の海外旅行の人気回復を実現することが解決につながるとした。近藤氏は続けて、インターネットによる就職情報の収集力が増えたことで、「旅行業界や旅行会社、またその業務に対する理想と現実の差や認識のズレが減少、旅行業界の本質を知った上で働きたいと思う学生が応募するようになり、採用の安定化、効率化が図れてきた」と述べ、「人気が落ちたのではなく落ち着いた」と考えられるとし、離職率をいかに下げるかが重要な課題だとした。

▽参考記事
旅行業界の新卒採用、求人倍率は高水準か−離職率は平均12%(2007/12/07)


▽採用方法の変化でモチベーションの向上、離職率の低下をめざす

 旅行業界の人気が落ちついたとすれば、効率的に集まった人材をいかに育て、離職を減らすことを考えなければいけない。所氏は「学生と平等の関係にたった採用活動を行い、旅行業界の不安点を伝え、将来の要望もしっかりと聞くようにしている」といい、学生の目線に合わせることで本質が見え、いい人材確保につながる好循環を生み出す流れを説明する。また、「採用は単なる入り口ではなく、その後のフォローアップを視野に入れた活動を行うことで離職を防げるのではないか」とも話す。また、近藤氏は利益を出すための営業戦略と同様に、離職問題への対策をたてるべきとし、少子化や人材育成費などを含めたサービス業における人材の重要性を語る。


▽旅行業界を発展に導く秘訣

 仕事は働きやすい会社、環境はもちろんのこと、現場の先輩がフォローすることで日々の業務の支えや魅力を実感することが継続につながる。所氏は、若手社員が興味を示したことに対し、「上司や先輩が本気で教育することで、新しいビジネスや商品が生まれ、旅行業界の活性化、さらにはより良い人材が集まる業界になる」と述べ、近藤氏も「旅行は素晴らしいと伝え続けることが業界を支える人を育てる」とした。

 旅行業界はレジャーでは夢を売るサービス重視の側面と、ビジネスでは確実さや顧客の出張者に快適さを提供する心配りなど、「人」のマニュアルだけに頼らない側面は大きい。一方で、現在は行き詰まりを随所に見せている旅行会社が築きあげてきた、仕事の細分化や分担制のよさもある。そして、今、最も求められているのが、経営と現場、そして人材育成を一体として実現し、きちんとした収益をあげる新たな旅行業界のビジネスモデルだろう。産学官の連携には、こうした視点からの議論が求められている。

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