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KNT再編(2)−店頭販売事業「対面販売の能力を高める」

  • 2007年9月7日
 近畿日本ツーリストが計画している新たな店頭販売会社は、KNT本体が展開する店舗とツーリストサービスの店舗を統合し、来年1月に誕生するもの。統合による事業規模は、従業員数は約1900名、売上規模1600億円となる。売上規模でみると、主要旅行会社の2006年度取扱順では第9位となり、リテール専業に限ると、ジェイティービートラベランドの2525億円に次ぐ会社となる。(下の表は2006年度、2005年度の主要旅行会社取扱額にKNT計画の新会社の規模を挿入)

 現在の店舗への来客は「ウォークインはない」(伊藤氏)というように、待ちの姿勢では売上増に繋がらないという認識を強くにじませている。このため、「お客様との接点をどうするかが鍵」で、KNTとツーリストサービスのそれぞれのノウハウを合わせ、シナジー効果を高め、「対面販売の能力を高める」ことに特化する。KNTとして取り組むCS推進にも則した方向性で、ネット販売が注目されるものの、こうした非対面販売の対抗軸として、付加価値を持つ販売を目指していく。

 店舗事業については、このところ注目されている高級店舗「ラグゼ 銀座マロニエ」はECC事業部にあることから、再編に伴う統合の対象外となる。ただし、KNTは東京・錦糸町で第1号店となるトラベル・ブティック・オリナス錦糸町を昨年開設し、「コンサルティング(相談)&コミュニケーション(対話)」のコンセプトを打ち出している。既に、関東圏以外に札幌の新店舗へも導入しており、これについては統合した新会社で、新たなコンセプトを受け継ぎ展開をしていくようだ。このコンセプトは、概ね上々に推移していると見られ(参考:「KNT、次世代店舗」記事)、各店舗にどのように活用するか、今後の店舗展開や売上増を占う重要な戦略だ。

 店舗数の増減については、ツーリストサービスは年間7店舗から8店舗の順増であることから、KNT分とあわせ、年10店舗の純増を想定。現在のKNT、ツーリストサービス合算した270店舗から、約10店舗を加えて新会社が発足する見込みだ。東京、名古屋、大阪を中心に出展し、特に東京については「厚くしていきたい」という。ツーリストサービスのヨドバシカメラ、イトーヨーカドなどの出店が一つの特徴だが、KNTは旅行関連事業で先ごろイオンクレジットサービスと業務提携を締結しており(参考:「KNT、イオンクレジットサービスと業務提携」)、これを弾みとしたイオンについても出店攻勢も進みそうだ。

 なお、人員についてもKNT本体から新会社へ移籍する人員を含め、従業員1900名の見込み。概ね、KNTから1000名程度の転籍が見込まれるが、新たな給与体系をはじめ、既にKNTとツーリストサービスで打ち合わせに入り、詳細を詰めているところ。新会社の名称も決定していないが、9月4日から社内公募を開始しているという。


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