JTB、19年度2Qは増収増益、国内大型イベントなど寄与

  • 2019年11月17日

会見の様子(左が小林氏)  JTBは11月15日、2020年3月期第2四半期(19年4月1日~9月30日)の連結業績を発表した。売上高は前年比0.4%増の6860億3900万円、営業利益は68.7%増の64億2200万円、経常利益は59.6%増の68億6900万円で、純利益は43億5300万円となり昨年の純損失10億6600円からプラスとなった。

 15日の決算発表会見で同社取締役常務執行役員財務部長の小林高広氏は、売上高は国内企画商品の低調などがあったものの、G20やラグビーワールドカップ大会などの国内大型イベントなどにより微増し、各利益も前期に相次いだ国内の自然災害からの反動や、海外企画商品の堅調、欧州のグループ会社における人件費の減少などにより増加したことを説明。売上原価は1.5%増の5365億4800万円、売上総利益は1.3%増の1494億9100万円、販管費は0.5%減の1430億6900万円だった。

 旅行事業の売上高の合計は0.3%増の5944億4900万円で、このうち海外旅行は0.5%減の2383億5800万円、国内旅行は0.1%減の2655億9000万円、訪日旅行は14.0%増の375億9600万円、海外発海外などの「グローバル旅行」は2.8%減の529億500万円。0.7%減の313億7200万円となったMICE事業や、商事事業や出版事業などを含む「その他の事業」は1.2%増の915億9000万円だった。

 海外旅行のセグメント別売上高は、ルックJTBなどの企画商品は1.0%増でハワイや欧州が堅調。団体は前期の大型団体の反動で2.3%減となった。国内旅行は、エースJTBなどの企画旅行は全体的に低調で4.0%減だった一方、団体は大型イベントの国内輸送により6.0%増となった。なお、前年から販売を開始したダイナミックパッケージの「ダイナミックJTB」の売上高に占める割合は、海外・国内ともに引き続き数%と小さく、「残念ながら、導入期としての認識がまだまだ広がっていない」という。

 20年3月期の連結業績予想は5月の発表を据え置き、売上高は1.3%減の1兆3500億円、営業利益は42.2%増の90億円、経常利益は331.8%増の100億円、当期純利益は54億円の黒字(前期は151億1600万円の赤字)のままとした。店舗の再編などにより減収を見込むが、各種の国内大型イベントの寄与などにより利益面は増加を見込む。10月の台風19号については売上高で60億円、利益面で10億円の影響を予想し、韓国・香港旅行の需要減や米中貿易摩擦の影響なども懸念されるものの、さまざまな施策でリカバリーに努めるという。

相談料収受は10月末で終了、来店への影響「あったのは事実」

 小林氏はこの日の会見で、4月に一部の店舗で試験的に開始した旅行相談料の収受を10月末で終了したことも説明。「相談に費用が発生するなら来店は考えたい」といった声が聞かれたことや、独自に実施した消費者の意識調査の結果なども勘案したことを伝え、「試行した店舗に限れば(来店に関して)多少の影響があったのは事実」と語った。実際に相談料を収受した件数などは明らかにしなかった。なお、相談料については、成約した場合は旅行代金に充当するかたちを取っていたが、成約に至らずに相談料を収受したケースは「ゼロではないと聞いている」という。

※相談料収受の中止に関しては、近日中に担当者のインタビュー記事の掲載を予定しています