週間ランキング、1位はアマデウスの「脱GDS」、3位にリーデルツアーも

[総評] 今週は、アマデウス・ジャパンが実施した研修旅行について速報でお伝えした記事が1位となりました。記事に書き忘れてしまいましたが、私が同行し現地から書いたもので、ひとまず概要をお伝えしただけでしたので予想を超える注目に少々驚きました。「脱GDS」という言葉のインパクトが要因のような気もし、そうだとすると、今回は以前からアマデウスが続けてきた取り組みをそのように表現しただけではあるものの、記事のタイトルはもっともっと時間をかけて考えなくてはならないという気がしてきます。

 さて、今回訪問したのはデータセンターと開発センターで、実は私は2008年にも同じ行程の視察を体験しているのですが、前回はメディア関係者が対象であったのに対し、今回は業務渡航系旅行会社で要職をお務めの方々とご一緒し、より専門的な観点での議論もお聞きできて大変有意義でした。

 正直なところ、一昔前のことで記憶もおぼろげではあるのですが、今回と前回を比較して何が最も変化していたかというと、前回はアマデウスがGDS企業から「ITプロバイダ」へと飛躍する過程の端緒が披露されていたのに対し、今回はその取り組みが10年以上も続けられてきていることでした。

 Appleが最初のiPhoneを発表したのが2007年であり、あるいはGoogleがYouTubeを16.5億米ドルで買収し高すぎるとか愚策だとか評価されたりしたのは2006年で、そう考えるとたったの10年ちょっとで世の中がいかに大きく変化したかを改めて認識します。

 一方、旅行業界における変化というと、もちろんOTAがプレゼンスを拡大しているとかサプライヤーがますます直販への意欲を増しているとか、そういったことは確かに感じるものの、肌感覚として当時と今とで大きく変わった物事がいまいち思い浮かびません。10年前も旅行会社は変化を迫られているとか崖っぷちだとか、そういったことが多く語られていたわけですが、今でも同じようなことが周囲で聞かれ、また私も当欄で書いているような気がしてしまうのですが、実際にはどうなのでしょうか。

 まあおそらく、地球温暖化と同じく本当に如実な影響が出てからでは遅い話ではあると思うものの、なんとなくオオカミ少年か、風車を巨人と間違えて戦いを挑むドン・キホーテのような気分もしなくはないところです。とはいえ、このご時世に楽観的視点のコンテンツばかりを掲載していたら、やはり業界専門メディアとしては失格でしょうし、勝手に警鐘を鳴らしつつ様々な先進事例を紹介する役割を果たし続けるしかなさそうです。

 ちなみに、今週3位に入ったJTBグランドツアー&サービスや、先週4位の海外マラソンツアー専門「マラソンネットワーク・ツアー&トラベル」のインタビューなどは先進事例ご紹介の例ですが、こうした記事が多く読まれているということは、今のところまだ読者の皆様からオオカミ少年としては認識されていないということかと思います。

 なお、昔のことをあれこれ考えていてふと思い出しましたが、私が最初に当欄を書いたのが2009年7月4日で、今月はちょうど10年の節目でした。業界の右も左も分からないなか、ほぼ丸一日かかってカラカラに乾いた雑巾から水分を絞り出すように文字を並べていた当時を思うと、平均2時間程度でスムーズにまとめられるようになったことは、まさに継続は力であると少し自分を誇らしく思います。

 10年後に何を書いているか、そもそもどこで何をしているかも実際には分かりませんが、楽しみにしてくださっている皆様のためにもできる限り続けていきたいと考えるとともに、日々是精進で少しでも良い文章をお届けできるようになっていきたいと思いを新たにしています。(松本)

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