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百年先の業界へ夢描く 全旅連・多田計介会長に2期目への抱負聞く(1) 民泊対策で成果の1期目

 全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、多田計介会長=石川県和倉温泉・ゆけむりの宿美湾荘)は6月5日、茨城県水戸市の水戸プラザホテルで第97回全国大会を開く。先ごろ開かれた全旅連理事会で2期目の続投が全会一致で承認された多田会長に、1期2年の振り返りと、2期目に向けた抱負を聞いた。

 ―平成最後、令和最初の全旅連会長ですね。

 多田 今回全旅連が97回目の全国大会を迎える長い歴史のなかで、平成から令和へと改元の年に会長を務めていることは、偶然ではありますが、とても光栄なことだと改めて身の引き締まる思いです。

 ―今期2年を振り返ってください。

 多田 まずは、皆様に支えられ1期目の任期を終えることができたことに心から感謝しています。2年前の会長就任時は、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が宿泊業界に新たな潮流として押し寄せている真っただ中でした。民泊新法への対応を喫緊の課題に据えながら、最初に行ったことが2つあります。

 1の矢としては、民泊新法の問題が、これほど大きな問題に発展した原因を冷静に追求したことです。そこで見えてきたことは、組織全体としての情報提供の不足でした。軌道修正を行うため組織機構改革を行い、機動的かつ能動的な組織整備と合議制の導入、さらには徹底した「見える化」に取り組みました。

 同時に2の矢として取り組んだのが、自由民主党観光産業振興議員連盟と都道府県観光産業振興議員連盟幹部ならびに関係省庁幹部との綿密な意見交換でした。いずれも功を奏し、同志である全旅連組合員の皆さんと心を1つにすることができたと思います。

 特に、民泊新法が地方の条例制定に降りていく段階で、地域ごとに組合組織、組合員が都道府県観議連幹部役員と結束し、法よりも厳しい条例制定のために動くことができました。こうした活動の原動力になったのは、個々の利益よりも地域住民の安心安全な生活を守るという我々の立ち位置を明確にした上での訴えかけでした。

 こうした活動に勝ち負けはありませんが、民泊新法制定までに全国で展開した皆さんの活動を通して、国に全旅連が観光立国振興に大きな役割を果たしているという認識を深めていただき、組織としての活動領域がさらに広がったことは間違いありません。住宅宿泊事業法の中身の多くは、皆さんの活動が評価された結果だと思っています。私はこれらの活動を通して、皆さんの代表であり得たことに感謝するとともに、皆さんを誇りに思っています。

(トラベルニュースat 19年5月25日号)

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情報提供:トラベルニュース社